フードロスや大量廃棄を防ぐためには? SDG’sを意識した食の未来を考える

飽食の時代の中で、食のあり方を考える

食の未来を考える 衣・食・住は人間が生活していく上で欠かせないものだ。さらに、この中で「食」は人間の三大欲求の1つでもあり、日々過ごすライフスタイルの活力になっている。しかし、現代社会は飽食の時代と言われている。売れ残ったり、食べ残したり、期限が切れたりした食品は捨てられ、産業廃棄物として処理される。このような食品ロス(フードロス)は社会の大きな課題であり、どう改善していくべきなのか考えなくてはならないだろう。  さらに、食料自給率の低下や水産資源の枯渇など、食を取り巻く問題は他にも取り沙汰されている。こうした中、9月22日にはMASHING UP主催のもと、サスティナブルを実践して食の未来のあり方を考えるトークセッションが国連大学にて開催された。  食や生物など生命資源分野に精通するビジネス・デザイナーの菊池紳氏がモデレーターを務め、コールドプレスジュース専門店「サンシャインジュース」を運営するコウ ノリ氏や渋谷区神山町の飲食店「SHIBUYA CHEESE STAND」を経営する藤川真至氏、料理人でありチーズケーキブランド「Mr. CHEESECAKE」を手がける田村浩二氏らが登壇。  フード・シーンの最先端に立つ当事者たちが、これからの食のあり方について議論を交わした。

食へのこだわりを生む原動力

コウノリさん セッションの冒頭では、登壇者らが食にこだわって仕事をしている理由について掘り下げた。美味しいものを消費者に届け、食の魅力を発信し続ける。言うのは簡単だが、「言うは易く行うは難し」ということわざがあるように、一筋縄ではいかないこともある。  サンシャインジュースのコウ ノリ氏は、「NYのコールドプレススタンドが流行り始めた頃に、現地でコールドプレスジュースを飲んだのが衝撃的だった。体中に栄養が行き渡り、エネルギーがほとばしるような感覚を味わい、新鮮な果物を使ったジュースを飲んだときの感動が今も生きている」と語る。  NYでの原体験があり、当時日本になかったコールドプレスジュースを広めるために、「サンシャインジュース」を立ち上げたとのだという。  全国各地から取り寄せた野菜や果物の味を、新鮮なままに届けるコールドプレスジュースは、鮮度が落ちれば商品の魅力が薄れてしまうという問題もある。  「日持ちしないことが価値だと思う。良質な自然の恵みをどうお客様に伝えるかを考え、産地や季節によって味が違うことも魅力の1つであることを訴えていきたい」と新鮮な味を届ける一心で運営している気概を語った。  渋谷で出来立てのフレッシュチーズを作り続ける藤川氏は、毎朝3時に起きて、契約している酪農家の元からタンクローリーで運ばれて来る生乳を低温殺菌させ、チーズを手づくりするのが日課なのだという。 「大学時代に訪れたイタリアのナポリで食べたチーズの味が忘れられない。酪農家のクラフトマンシップに触れたことが、今のチーズ作りにも生きている。ミルクの風味の活かし方や、機械ではなく手作業にこだわることで、妥協せず美味しくて新鮮なチーズを提供できればと考えている」(藤川氏)  また、13年間飲食・レストラン業界に従事している料理人の田村氏は、「Mr. CHEESECAKEを立ち上げる前は、コンクールで賞を取るために料理の腕を磨いていた。しかし自分の味を追求することとのギャップを感じていたため、趣味で作っていたチーズケーキをSNSで発信したところ、思わぬ反響を生んで結果的に販売するようになった」とチーズケーキにたどり着いた経緯を語った。
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サスティナブルな食の未来のために私たちにできることとは
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