「反日デモ」ではなく、「安倍政権糾弾キャンドル集会」!?
ジョーさんが送ってくれたデモの概要。上の文は「国民の力でGSOMIAを破棄させよう」。中の太文字は「第6回安倍糾弾キャンドル集会」
その後、ジョーさんからメールで写真が送られてきた。そこには反日デモの概要が記載されてあったのだが、驚いた。なぜなら、日本で報道されているような「反日デモ」という記載ではなく、「
安倍政権糾弾キャンドル集会」と書いてあったからだ。
ジョーさんに聞いてみると、韓国人にとってこの集会は日本全体を糾弾するような「反日デモ」という認識はまったくないという。あくまで「反安倍デモ」という認識なのだそうだ。それに「キャンドル集会」は“
非暴力の平和デモ”という認識が僕にはあった。
「ああ、またか」と僕は思った。
フィリピンで経験した、日本のメディアの情報と現実とのギャップを知った時と同じような感覚を抱いた。そしてその瞬間、「これはもしかしたら、いけるかもしれない」と心の中で少しだけ希望の火が灯った。
当日、キャンドル集会が行われる場所へ向かうと、他のデモが行われていた。それは韓国の現政権に対するデモだった。ステージに立っている登壇者の声が街中に響き渡っていた。
これに参加している人たちの熱狂ぶりは、なかなか日本では見ることができないものだったので、少しだけ圧倒された。韓国では反日デモだけでなく、
自国の政府に対するデモも熱いのかと思った。
当時の心境としては、「このデモの後に行われるキャンドル集会も同じような熱狂ぶりだったら、危ないかもしれない……」と不安になったので、もう何も考えたくなかった。自分がキャンドル集会でフリーハグをするなんて、他人事のように思えていた。
私は皆さんを信じています。皆さんも私を信じてくれますか?
アイマスクをして、無防備な姿でハグを待つ
キャンドル集会の現場に着き、僕はアイマスクで目隠しをした。これは、無防備な状態をさらけ出すことで「あなたを信頼している」というメッセージを伝えるためのビジュアル効果の一つだ。
また、人々の視線を自分の顔に向けさせるのではなく、両脇に置いたメッセージボードに注目してもらうためでもある。メッセージにはこう書いた。
私は日本人です。
いま、反安倍集会が行われています。
日本ではこれが反日デモだと報じられ、
韓国人全員が日本人のことを嫌いなんだと思ってしまう人もいます。
しかし、私はそう思いません。
日本には、日韓友好を願う多くの市民がいます。
韓国にも、日韓友好を望む多くの方がいると思っています。
私は皆さんを信じています。皆さんも私を信じてくれますか?
もしそうなら、ハグを。
一般のフリーハグの場合はノリだけでハグすることもできるが、今回は日本に批判的な人たちが集まっている場所で行う。だからメッセージの内容をよく読んで考えてもらって、その意味を理解してくれた人にハグをしてもらいたかったのだ。