トランプ政権の非人道的な政策に抗議し、プログラマーが翻した反旗

抗議活動イメージ

Niek VerlaanによるPixabay

政治的理由で Chef 関連のプログラムが消えた

 Chef というサーバー構成管理ツールがある。Chef Software 社によって開発されており、Ruby というプログラミング言語で書かれている。  9月の中旬に、この Chef で利用されているオープンソースのプログラムが突如ネット上から消えた。RubyGemsGitHub といった、プログラムをネット上から取り込むことができるサービスから削除されたのだ。  その結果、それらを利用しているプログラムがビルドできなくなり、これまでのように利用できなくなった。Chef の利用者はトラブルに見舞われた(参照:tpdn blogZDNet Japan)。  原因はすぐに判明した。削除した本人が明かしたのだ。その本人とは、削除されたプログラムの開発者 Seth Vargo 氏だ。Google のエンジニアである Seth Vargo 氏は、かつて Chef Software 社の従業員だった。彼は政治的な抗議のために、古巣の Chef Software 社にダメージを与えようとしたのだ。

非人道的な政府機関

 政治的な抗議とは、米国政府の移民・関税執行局(ICE; Immigration and Customs Enforcement)と Chef Software 社が契約していることに対するものだ。ICE は、移民に対して非人道的な扱いをしているということで批判の対象になっている。そこと契約するということは、そのおこないを手助けしていることになるという主張だ。  ICE の問題は、たびたび記事になっている。BBC の2018年6月の記事に『米ファースト・レディー、親子引き離す移民政策を批判 「与野党が一致して対策を」』というものがある。成人の越境者は拘束・収容され、不法入国の疑いで刑事裁判にかけられる。しかし未成年は、収容センターに送られて親と引き離される。この親子を引き離すやり方は、人権保護団体によって強く非難されている。  また同じ BBC の2019年06月26日の記事に『移民の子ども100人超を「ひどい」施設に送還 米国境』というものがある。子供たちが酷い状態で放置されている様子を伝える内容だ。  記事中の、ウィラメット大学のウォーレン・ビンフォード教授の話が、現状をよく物語っているだろう。 >「数百人の子どもたちが、工場用地に最近建てられた倉庫に足止めされている。部屋は定員オーバーで(中略)しらみが湧き、インフルエンザも流行している。子どもたちは大人の監視のない場所に隔離して閉じ込められ、とても、とても不健康で、地面に敷かれたマットに寝ているだけだ」  同じような問題提起は、ニューズウィークでもおこなわれている。2019年6月24日の記事『トランプ政権が生んだ、命も危ない児童移民収容所』、2019年6月26日の記事『非人道レベルに達した米移民危機、国境当局で辞任相次ぐ』は、この問題が子供たちに深刻な被害を与えていることを伝えている。
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「抗議」としてのプログラム削除
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