この言い換え話法は、上司からの指示を受けるときに、特に効果を発揮します。上司から指示があったときに、単に「わかりました」と言ったり、よかれと思って即座に「承知しました」と言って、「本当にわかったのか?」と上司から問われたことのある人もいると思います。
「わかりました」と即座に言えば言うほど、何度も言えば言うほど、本人がわかっていたとしても、わかっていることが相手に伝わりにくいという本末転倒なことになってしまいがちです。
「わかりました」と言うかわりに、言い換え話法をひとつ繰り出しただけで、上司は「確かに理解してくれているな」「自分の言葉で咀嚼してくれているのだな」と感じる度合が高くなり、上司に安心感を与えます。
また、この方法は、上司から指示を受けた時だけでなく、お客さまからクレームを受けたときにも有効です。懸念があるのでクレームを受けるわけですが、そのなかには相手が理解していないという懸念が含まれます。言い換え話法は、「相手の話を理解しています」ということを示す、とてもパワーのある方法なのです。
質問:言い換えはどのようにすればよいか
言い換えは、どのように行えばよいのでしょうか? その場で初めて聞いた内容を即座に言い換えするということは、簡単なことではないと思うのですが。何か、即座に言い換えができるようになるよい方法はあるのでしょうか?
回答:5つの言い換え手法を繰り出す
漠然と言い換えをしなければならないと考えると、むずかしく思えるものです。次の方法に分解してみると、言い換えをしやすくなりますので、試してみてください。
これらの方法のうち、その場面で自分にとって使いやすいと思える方法を使いはじめることをお勧めします。ただし、下記の下になればなるほど、誘導色が強くなりますので、意見の相違が大きい場合には、上位の方法を使うことがお勧めです。
▼「性能がよいことがわかっているが、価格が高いと思っている」の言い換え
・表現変更⇒「品質が優れていることに着目してくださっていますが、お見積りに問題を感じていらっしゃるのですね」
・詳述⇒「これまでのお話をふまえれば、〇〇などの性能がよいことをご理解いただいていますが、価格が高いことを心配されているのですね」
・要約⇒「良い点は性能、問題は価格ですね」
・単純化⇒「品質と価格の兼ね合いですね」
・ポジティブ変更⇒「品質が高いことをご評価いただく一方、お見積りを気にかけていらっしゃるのですね」
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第157回】