「わかりました」よりずっと理解できたことを伝えられる「5つの言い換え」

「後輩や部下のことを、もっと理解しよう」「お客さまの考えていることを、しっかり把握しよう」……。ビジネスパーソンであれば、誰でも、何度となく、このようなことを考えたことがあるに違いありません。

部下や顧客の考えが理解できない

顧客や部下にいかに伝えるか  最近は特にメンバーやお客さまの多様性を認めてビジネスを進めようという気運が高まっていますので、「メンバーやお客さまを理解しろ」ということが従来にも増して、よく言われるようになりました。  このような背景があるなか、筆者がビジネススキル演習をしていて寄せられる質問に、「後輩や部下を理解しようとしているのだが、具体的に何をどうすればよいか、わからない」というものが増えています。理解しようと何度言い聞かせても、何度言われても、理解するための行動をどうすればよいかわからなければ、掛け声倒れになってしまうというわけです。  さまざまな行動や話法の演習をしてきましたが、メンバーやお客様を理解するために、最も簡単で誰でもすぐにできて、効果が上がりやすい方法があります。それが相手の話を言い換えるという方法です。

5つの言い換え話法

 相手の話を言い換えるというだけでは、具体的にどのように言い換えるのかということがはっきりしませんので、言い換えの方法を私は5つに分解しています。「表現変更」「詳述」「要約」「単純化」「ポジティブ変更」です。 「表現変更」は、相手の話を同じような意味の別の表現に変更するという方法です。自分が理解していることを、相手とは別の表現で話すということです。 「詳述」は、情報を追加してより詳しく表現するという方法です。自分のわかっている範囲で、内容を追加していきます。 「要約」は文字通り、相手の話を要約して話すということです。「要約するとこういうことですね」「まとめるとこういうことですね」というフレーズで繰り出します。 「単純化」は要約の1パターンですが、相手の話を象徴的な一言で話すということです。  表現変更、詳述、要約、単純化はフレーズの構造に着目した言い換えですが、フレーズの意味に着目した言い換えが「ポジティブ変更」です。ポジティブ変更は相手の言った内容を、意味を変えないでポジティブな表現に変えると言い換え方法です。  これらの言い換え話法を、全部一度に使おうと思う必要はありません。自分にとって使いやすい話法から繰り出していくことがスキル向上の早道です。そのうちに、相手や話題にあう言い換え話法の見当がつきやすくなります。
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言い換えることで相手に安心感を抱かせる
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