射精はオーガズムではない?「男らしさ」を超えた本当のオーガズムの先にあるもの

一元化している「セックス」の定義

オーガズムの仕組みとは 昨今、日本における性教育の貧しさが問題視されている中で、特筆すべきものの中にアダルトコンテンツの教科書化がある。性教育の中でセックス について触れられることがない故にアダルトコンテンツからそのノウハウを学ぶ、と言うことだ。  しかし、アダルトビデオ、エロ漫画、アニメの中で様々なセックス が描写されているが、その多くは前戯、挿入、射精、という形式化された順序を経ているものばかりだ。これをここではセックス の一元化と定義づけしたい。  セックス自体が生殖を目的としているのであれば、射精で終わることは誠に合理的だ。しかし、人と多くの動物の違いは、生殖以外にも性を快楽として楽しむ「文化」を持つことであり、さするとセックスは人間同士が行う最も濃密なコミュニケーションと捉えることができるだろう。  つまり、セックスの形に正解は無く、お互いに気持ちよく、多幸感に包まれることができれば、その順序手立ては自由であり、前戯、挿入、射精と言う順序にこだわる必要はないのである。

男性のオーガズム=射精という誤解

 セックスに関する議論の中で最も重要なのはオーガズムの有無であろう。セクシャリティ研究の先駆者、シェア・ハイトはアメリカ国内の女性3000人の性生活の聞き込み調査した著作「女性の性に関するハイト・レポート」を1976年に発表し、このレポートによると30%未満の女性しかオーガズムを経験したことがない、との報告がある。  もちろんこれは1970年代のアメリカ、という社会的・時代的制限がある。当時のアメリカはキリスト教家父長的な価値観が強く、女性が性を楽しむ、と言うような社会背景は現在に比べ少なかったと言える。しかし実際現在の日本でも「イク」ことができなくて悩んでいる女性は少なくはない。  また、それ以上に男性は射精がオーガズムと認識している人が大多数であるが、実は、射精は排泄欲の解消にすぎず、本当のオーガズムではないのである。では、男性の本当のオーガニズムとは何なのか。どうすればオーガズムを感じられるのだろうか。  オーガズムのメカニズムは科学的に考察されている。まず、セックスの前には男女問わず、自律神経を整え、副交感神経を優位にさせないと、女性器内の粘膜を潤し、男性器を勃起させることは難しい。  副交感神経が優位の時、それは心身ともにリラックしている状態である。血管または神経の障害等身体的理由以外での男性の勃起障害の要因の中に心理的なものが含まれるのはこの為である。
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オーガズムは「筋肉運動」である
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