イギリスは「難民に厳しい」は本当か? 難民支援の「チャリティ」で働いてみた

イギリス社会に根づいた「チャリティ」。団体数は約16万8000

イギリスの街イメージ イギリスの街中を歩くと、「チャリティショップ」と呼ばれる、赤十字やセーブ・ザ・チルドレン等の非営利団体が運営するセカンドハンドの店が、至る所にあることに気づく。  会社のイベントでは、非営利団体とタイアップした“チャリティイベント”が数多く開催され、社員が寄付金を集めたりボランティアしたりすることが推奨されている。  人権・環境などの社会問題の解決を目指す非営利団体は「チャリティ」と呼ばれ、古い団体は19世紀から続いている。「チャリティ」は社会の中に根づき、イギリス文化の一つと言えよう。 「チャリティ」は分野も規模もさまざまだ。年間収入が500億円を越すCancer Research(がん研究/啓発活動)やOxfam(貧困撲滅)といった大手から小規模団体まで約16万8000団体がイギリス内にあるが、その中に国内の難民問題に特化するチャリティも存在する。  イギリスは、昨年は約3万2000件の難民申請数を記録し、難民認定数は約1万人と、難民受け入れも申請数も、ドイツなどに比べるとヨーロッパ内では決して多いほうではない。  しかし、ブレグジットも国民の反移民・難民感情が扇動された結果とも言われており、国内の難民問題は「ホット」な問題である。実際に、難民を支援するチャリティで働いてみて、イギリスのチャリティと難民事情について覗いてみた。

ボランティアといっても誰でもすぐ働けるわけではない

 そもそも、どうやったらチャリティで働けるのか。イギリスには「charityjob.com」というオンラインプラットフォームがあり、多くのチャリティがそこに求人広告を出す。ボランティアのポジションであっても、履歴書とカバーレターと呼ばれる志望動機書の提出は必須だ。  イギリス内で「チャリティ」の地位は確立されているため、ボランティアといった無給のポジションでも、誰でもすぐに通るわけでなく、競争である。書類選考が通ったら、次はインタビューだが、そこで落とされることも多い。  履歴書に書けるようなボランティアの経験を多く積みながら有給のポジションを狙うのが、イギリスで「チャリティワーカー」になる道である。  筆者は「Room to Heal」というロンドン・イズリントン地区の、「トラウマを抱えた難民/難民申請者」をサポートする小さな団体に履歴書とカバーレターを提出した後、代表とインタビューをして無事にボランティアに採用された。
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活動するには「犯罪者ではない証明」が必要
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