住居のない難民申請者をサポートする住宅専門のチャリティ
他にも、住宅専門のチャリティの存在は日本にないものとして際立つ。イギリスでは
「アサイラムサポート」と言われる、難民申請者に対し申請の結果が出るまで住居と生活費が保障される仕組みがあり、多くの難民申請者が利用している。
しかし中には何らかの理由で、アサイラムサポートが使えなかったり、国から提供された住居に住めなかったりする場合がある。
そういう時は、住宅専門のチャリティに連絡し、難民申請者を住まわせてくれるホストファミリーを紹介してもらう。
ホストファミリーとRoom to Healのケースワーカー、難民申請者が面談し、双方が合意すれば決まりだ。先日も、テムズ川沿いの素敵な一軒家に住むイギリス人女性の家に、難民申請中のメンバーが住むことが決まったばかりだ。
難民を一般市民が自宅に受け入れる、というのは日本では考えにくいだろう。
「イギリスの政策は難民に厳しい」といっても、日本よりは優しい!?
難民認定率(難民認定数を同年の難民申請処理件数で割ったもの)は、イギリスは約30%。対して日本は毎年1%を切る。チャリティセクターのサポートも日本に比べて充実しているが、エリーはこう指摘する。
「
イギリスの移民難民収容所は、ヨーロッパで唯一、無期限で難民申請者たちを収容できる場所。“期限なし”かつ“いつ収容されるかわからない”というのが、彼らの精神不安の増大につながっています。hostile environment(敵対的環境)の呼び名の通り、難民申請のプロセスも非常に複雑で長時間かかり、難民たちにとって今のイギリスの政策は非常に厳しい」
そして
「新内務大臣のプリティ・パテルは、両親も移民でありながらも彼女自身は反移民の極右だから、彼女がいる限り状況がよくなる兆しはない」と話す。
イギリスの難民をめぐる政策については、難民/難民申請者にとって理想的ではないだろう。しかし難民支援チャリティの現場からは、
「チャリティセクター」そのものが日本と比べて充実しており、難民を支援する素地がそれなりに整っていることが見えてくる、と言えるのではないだろうか。
<文・写真/谷口真梨子>