登録してしばらく待っていると、最初の作業場所があてがわれた。車で移動し、後ほど現地で先発隊と合流するとのことであった。
現場は地元の民宿であった。
二階の窓が突き破られ、室内が水浸しとなり、思い切り
雨水を吸い込んだ畳が重くなったうえにカビが生えてきてどうしようもないのだという。
おばあさんが一人いるだけで、一人ではどうしようもないのは聞かなくともわかる。
水を吸って重くなり、カビてしまった畳
まさにこれが前回、勝又代表が触れていた
「ブルーシートの下」の現状である。
どうやって畳を下に降ろすのか。階段があるにはあるが、非常に横幅が狭く、勾配も急なため、重くなっている畳を二人がかりで持ち運ぶのはむしろ危険である。
窓から下へ投げ捨て、それを下の二人が回収するほうがいいのではないか、ということで全員が一致した。筆者がその旨を家主に伝えて許可をもらい、下で待ち構える組に加わることとなった。
下で畳を回収する。ここでの問題は、裏口の通路が極端に狭くなっていることだ。道幅は確実に1m以下で、その上に冷房の室外機があるためその部分がさらに狭くなっている。
長袖を着る意味がそこで出て来る。この民宿の裏口に木製の階段があるのだが、今回の台風で何段かが吹き飛ばされてしまった。その際に、この段を止めていた釘が飛び出ており、畳を運ぶ際に肘をひっかけてケガする恐れがあるのだ。写真の中でピンクの丸の中が飛び出ている危険な釘である。
階段脇の釘がむき出しになり(〇印の部分)、負傷の恐れが生じている。屋外作業では現在、こうした危険も付きまとう
サングラスが必要なのは、こういった屋外作業が多いからだ。ゴーグルの貸し出しはあるが、紫外線のことを考えるとサングラスのほうがいいのではないかというのが筆者の私見である。
肘をケガする心配もあるが、足元も石が飛び出ていたり段差があったりして油断禁物である。
この畳を全部道路沿いに出したところで昼食休憩に入ることとなった。本部に戻るとカレーライスとカップヌードル、おやつ類が用意されていた。
本記事の前半で現地入りの移動手段について書いたが、結論としていえることは
「たとえ千葉県民でも、東京への通勤圏内に住んでいるのであれば、東京駅からのバスに乗ったほうが便利だ」ということだ。8:18分に館山駅へ到着し、8:40発のローカルバスに乗り換えできる。しかも、帰りのバス代は無料となる(✴︎詳細は
館山市社会福祉協議会)。
次回は、実際に館山で被災しながらも「つながり」で活動を続ける方の証言を伝えていくこととしたい。
支援活動はまだ人材を募集している。問い合わせは「
一般社団法人 震災復興支縁協会つながり」まで。
<取材・文・撮影/タカ大丸>
ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『
ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「
ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『
貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。