業界関係者は言う。
「仮に高射幸性遊技機の段階的撤去のスケジュールが曖昧になったり、後ろ倒しになったりしたとしても、そもそも認定期間(※法的な設置可能期間)の満了を迎えた遊技機を『みなし機』として設置し続けても良いという理屈にはならない。その点を誤解するホールが出てくるのではないかと心配している」
この業界関係者の「心配」には、二つの意味がある。
一つは、撤去理由を混同したホール(知っていても知らないフリをしたホール)が警察に摘発された場合、その余波として高射幸性遊技機の段階的撤去スケジュールが前倒しになったり、そもそも許容されなくなったりなるのではという心配。
それよりも心配なのは、違法な設置にも関わらず、警察の摘発すら受けず、正直にルールを守ったホールがバカを見るのではないかというもの。
なぜこの様な「心配」が出るのか。
実は、
今年の年末までに法的な設置期間の期限を迎えるパチスロ機の多くが、現状のホール営業を支えている主力機であるからだ。「まどマギ」や「バジリスク絆」、「ハーデス」等がその対象である。ホール側の本音を言えば、出来る事なら撤去したくは無い遊技機である。
今後3年以内に、現在全国に1万店舗程度あるパチンコホールは7000店舗以下にまで減少すると言われている。廃業や縮小を考えているホール企業が、摘発されたらその時は閉店すれば良いという無責任さを発揮しないとも限らない。
今回の全日遊連の理事会において、業界の段階的撤去スケジュールを曖昧にするということは、同時にこのような問題を内包するということでもある。
ちなみに、法的な設置期限を超えた遊技機を撤去していけば、来年の1月には、本来の目標である「2020年1月末迄に設置比率5%」に達さないまでも、概ね8%程度までは抑制されるというのが、パチンコ業界内での常識。問われているのは、パチンコ業界の良識である。
<文/安達夕>