またも先送りにされた高射幸性パチスロ機の撤去。問われるパチンコ業界の良識

パチスロイメージ

FINEDESIGN_R / PIXTA(ピクスタ)

延び延びにされる依存症対策としての「高射幸性機撤去」

 パチンコ業界は依存症対策の一環として、高射幸性パチスロ機の段階的撤去を進めている。高射幸性パチスロ機とは、2万枚(40万円相当)以上の出玉実績が確認されているパチスロ機の事であり、対象機種は、2018年1月末時点で、店内パチスロ設置比率の30%以下、2019年1月末時点で15%以下、2020年1月末時点で5%以下にするというもの。  しかし、2018年2月に遊技機規則(遊技機の法律上の基準)等が改正されて以降、基準を満たした新規則機(=6号機)が潤沢に市場に出回らないことを理由に、「2019年1月末現在で15%以下」という取り決めは「無期限延期」となっており、全国の多くのホールでは、高射幸性パチスロ機の設置比率が20%~30%のままとなっている。  そのような状況下で、全国のパチンコホールの多くが加盟する全日本遊技事業協同組合連合会(以下、全日遊連)が9月20日に全国理事会を開き、「2019年1月31日までに15%以下」とする期限の延期措置に関して、「当面、新たな期限を検討する状況にない」と考えを示した。  パチンコ業界誌「プレイグラフweb」によれば、全日遊連の阿部恭久理事長は理事会の冒頭で、現状の6号機市場に対し「依然、新台の安定供給は厳しく、中古機も品薄状態。昨年と比較して、改善の傾向がみられない」とその理由を示している。  本来の目標である「2019年1月末15%以下」のみならず「2020年1月末5%以下」すらも、このままだとうやむやになる気配だ。もしそうなるのであれば、理由はどうであれ、パチンコ業界が自ら決めた目標を自らが反故にすることに対し、業界内外からの批判は免れない。

パチンコ業界で進む2つの撤去計画

 パチンコ業界には、二つの撤去スケジュールが平行して進んでいる。  一つは、前述の「高射幸性遊技機の段階的自主撤去」の線。もう一つは、法的な設置期限を迎える遊技機の即時撤去の線。  業界事情を知らない人からすれば、後者の「法的な設置期限」を超えたものは当たり前に撤去するのだろうと思うだろうが、パチンコ業界では、公安委員会が許可している設置期限を過ぎても「みなし機」として継続設置する場合がある。  この点に関しては、法解釈の問題や昔からの商慣習の問題など複雑な問題が絡み合っているので、業界内でも賛否が分かれるところであるが、そもそも2018年2月の遊技機規則等の改正で、根拠となる遊技機の法律自体が変更されたので、今回に関しては「みなし機、即違法」となる。
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業界関係者を悩ます「二つの心配」
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