「セクシー」発言の小泉進次郎環境相は本当に「ポエマー」なのか? 過去の発言を振り返ってみた

Japanese Prime Minister Shinzo Abe Reshuffles Cabinet

(Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images)

次期総理と持ち上げられる「小泉進次郎」

 今月の内閣改造で自民党の小泉進次郎氏が、環境大臣に任命された。祖父は、小泉純也元防衛庁長官、父は小泉純一郎元首相という政界のサラブレッド。そして期待の若手として、次期総理の呼び声も高い。  日経新聞が今月、内閣改造後に行った「次の首相にふさわしいのは誰か」という世論調査では、2位16%の安倍首相を抜いて、20%を獲得し1位だった*。国民から絶大なる人気を集める小泉氏。しかしその一方で、最近は「ポエマー」と揶揄されている。 <*「次の首相」小泉氏20%で首位 安倍首相、石破氏続く|日経新聞>  Googleで、「小泉進次郎」と入力すると、予測変換に「小泉進次郎ポエム」と出てくる。「ポエム」と打つと「ポエム小泉」、「ポエマー」と打つと「ポエマー進次郎」と上位に出てくる。「ポエム小泉」は、売れない芸人の芸名のようだ。  ポエマーと揶揄されるきっかけになったのは、9月17日の記者会見における小泉氏の発言だ。 ———————————– 記者「最終処分場の検討が進んでいない現状・見通しについて、小泉大臣の見解を頂きたいと思います」 小泉進次郎環境大臣「これは福島県民の皆さんとの約束だと思います。その約束は守るためにあるものです。全力を尽くします」 記者「何か具体的に今しようと思っていらっしゃることは?」 小泉進次郎環境大臣「私の中で30年後を考えた時に、30年後の自分は何歳かなと発災直後から考えていました。だからこそ私は健康でいられれば、30年後の約束を守れるかどうかという、そこの節目を見届けることが、私はできる可能性のある政治家だと思います」 <出典:「具体策は?」に進次郎氏の回答は 除染廃棄物問題(19/09/19)> ———————————–  一連のやりとりにおける小泉氏の回答が、あまりにも意味不明かつ的外れだったため、「ポエム」や「中身がない」といった批判の声が噴出したのだ。 「まさか小泉氏が」と驚かれている人も多いだろう。しかし、小泉氏の過去発言を調べてきた私にとっては「またか」と思える発言だ。  今回は、小泉氏の「ポエマー語録」を紹介していこう。

中身のない発言のオンパレード まるで自己啓発

 先ほどのポエムと批判された発言もそうだが、過去10年分の小泉氏の発言を遡って分かったことは、他者を批判する時と、自身の考えについて意見を聞かれた時で、明確にパターンを使い分けていることだ。 【2013年2月12日】 ”安倍政権は、原発事故以来、東日本大震災以来、初めての自民党政権だ。かつての自民党政権時代、まちがった安全神話のもとに原発を推進してきた責任をまぬがれることはできない。おわびと反省から始めるべきだ” <出典:衆議院 第4号 平成25年2月12日(火曜日)>  この発言のように、誰かを批判する時は、ズバッと言う(ただし、その発言に基づいてなにか行動を起こすわけではない)。先日のポエムと見比べてみると、その違いは顕著だ。  一方、自身の考えについて意見を聞かれた時は、『自己啓発』と『ポエム』の2パターンで対応する。小泉氏の『自己啓発』や『ポエム』と思われる発言をいくつか抜き出してみた。  「自己啓発」と呼べるパターンの発言は以下の通り。 【2016年9月28日】 ”(東京都港区での講演で)人口減少は不可避です。仮に明日、出生率が人口を維持できるという2.07にいきなりなったとしても、日本の人口減は当面止まりません。だとしたら、今我々が持つべき発想はなんでしょうか。  皆さんは将来に悲観的な1億2千万人の国と、未来に楽観的で自信を持つ6千万人の国だったら、どちらの方が未来があると思いますか。極端な例かもしれませんが、私は悲観的な1億2千万人の国より楽観と自信を持った6千万人の国の方がよっぽど強いと思う。  最大の日本の課題は、人口減少と少子化にある。その打開策は、毎年減り続けることを悔やむ発想から早く飛び出して、減る中でもやっていけるという成功例を生み、人口減少でも大丈夫だという楽観と自信を生むこと。それが結果として将来、人口が下げ止まる環境を作り、新たな日本の発展への道を描く。私はそういう考えでいます” <出典:「人口減を悔やむ発想から早く飛び出せ」 自民・小泉氏 2016年9月28日 朝日新聞デジタル>  自己啓発セミナーそのもののような発言だ。一切具体例は語らず、発想の転換こそが成功を導くと訴えている。この講演の後に、自己啓発本を売っていないことが唯一の救いかもしれない。 【2019年2月11日】 ”困難の中に好機を見いだす。よく言うんです、政治の世界でも。愚かなリーダーはどんなチャンスにも困難をあえて見つけようとして、できる理由ではなくてできない理由を見つける。しかし、立派なリーダーは困難な中にどうやったらできることがあるかを探す。これからはもう人口減少を嘆くのはやめましょう。若い人が町を出て行くのを嘆くのもやめましょう。いくら嘆いたって人口が減ることは変わらない。どうやったら人口減少でも豊かさと強みを引き出せるかを考える方がよっぽど前向きな地域づくり、国づくりができると思いませんか。私はそういう発想なんです(石川県白山市の講演で)” <出典:進次郎氏「人口減少を嘆くのはやめましょう」 石川県で 2019年2月11日 朝日新聞デジタル>  この時もそうだが、小泉氏は、社会問題について問われた時、自身が考える問題の解決法や具体策は語らず、問題へ対峙する際のマインドやメンタリティについてふんわりとそれっぽいことを語っているだけなのだ
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小泉進次郎の真骨頂、空疎なポエム
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