移住先としても人気のタイ。ただ、食い扶持探しは年々難関に

自分から動くことでチャンスに繋がることも

 それでもバンコクがいい、という人もいるかもしれない。もちろん、バンコクでも若く未経験の日本人が現採として働き口を見つけることは不可能ではない。そもそも数千の日系企業がタイにあるわけだし、先の人材紹介会社に依頼して根気よく待てば、いつかは巡り合う機会もある。ただ、その間ビザや滞在費をすり減らすことになるので、落ち着いて過ごすことは難しいということだ。  もしどうしてもバンコクで仕事を見つけたいならば、自分から動くこともチャンスに繋がるようだ。社会人スキルは多少あったが、タイ語は読み書きもできない20代のGくんは、グループとしては日本でも屈指の専門商社に就職が決まった。 「面接は全部で6社くらいだったかと思います。紹介会社を通して企業に応募していましたが、なかなか書類選考が通らず、大変でした。今回採用されたところは、ネットで見て直接応募しました。その姿勢といいますか、やる気といいますか、そこを考慮してくれたみたいです」
家族で移住する人も

子どもののびのびと育てられるので、家族で移住する人もいる

 紹介会社を通すメリットは希望する条件で就職先を斡旋してくれることと、万が一、本採用されなくても次を紹介してくれたり、採用後のアフターケアもあることだ。しかし、それだけが現採としての就職方法ではなく、こういった直接応募、あるいは人伝の紹介で採用されるケースもある。  要するに、やる気さえ見せれば雇ってくれるところはあるのだ。やる気さえあれば、タイでもどこの国でもやっていけるのだ。ただし、多少でもどんな形であれ社会人経験があった方が、さらに有利になるというのが、今のタイの現採のリアルのようである。 <取材・文・撮影/高田胤臣>
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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