オーディオブックの意外な効能。鍵は「2倍速」で聴くこと

 経営者を目指す学生や若手ビジネスパーソンは少なくない。しかし、そのためにどのスキルを高めるべきなのか、何をしておくべきがわかっていないために、経営者になるための準備ができなかったり、ステップを歩めない人は多い。今回は、40歳で年商40億円の企業、AUD Cars株式会社を経営する太田 良氏に、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫る。

文章題を華麗に描くことが経営に役立つ

太田氏と山口氏

AUD Cars株式会社代表取締役社長の太田 良氏(右)とモチベーションファクター株式会社代表取締役社長の山口 博氏(左) <撮影/荒熊流星>

山口 博氏(以下、山口):「今日は太田さんが経営者として活躍されるようになった背景をお伺いしながら、経営者として大成していくために、いったい何が必要なのか、つまびらかにできれば幸いです。まずは学生時代に何に関心があったかお聞かせいただけますでしょうか」 太田 良氏(以下、太田):「小学校からとにかく算数が好きでした。中学受験の算数なので、ほぼパズルみたいなものですね。文章題を図で華麗に表して解くのに夢中でした。大学で理論物理を専攻していても小学校時代に通っていた大手塾で中学受験の算数講師をしていました」 山口:「算数に関心をもたれていたわけですね。意外に思いました。算数は企業経営に役立ちますか?」 太田:「世の中は常に選択の連続だと思っています。簡単に言えば常に2択です。しかし、2択の先もまた2択があり、それを10回先まで考えると1024通りです。もちろん私はそんなに考えられません(笑)。しかし、式で表す数学と違い、算数は文章題を絵や図で表して問題点を簡潔明瞭にして答えを導き出します。世の中にあふれかえる数値や流れを頭の中で絵に変換できるようになると、さら楽しくもっと知りたいと思うようになる、と思っています」 山口:「確かに、経営は、例えば方針をどう描いてメンバーにイメージさせるか、キャリア開発をどのように心象化するかにかかっているかもしれません。しかし、イメージ力を高めることは、容易ではありません」

今はテロップで理解する時代

太田氏

AUD Cars株式会社代表取締役社長の太田 良氏

太田:「そもそも今は聞く力を養うのがとても難しい世の中です。昔は、会話によっておばあちゃんの昔話や風俗が伝承されてきました。しかし、今はネット動画もテレビも全てテロップで理解する時代です。聞いて自分なりに理解・想像していたものが、今はテロップのオチに強制誘導されます」 山口:「なるほど、理解力、イメージ力を高めるということは、聞く力に行き着くわけですね。ではどのように高めればよいのでしょうか」 太田:「会話のキャッチボールが一番です。相手の考えを聞いて理解し、答えを返す。聞く力が弱ければ答えを返す余裕がなくなってしまします。そこでおすすめしたいのは、本を朗読してくれる本です。いつでもどこでも自分の興味のある本を一流のナレーターが読んでくれます」 山口:「いわゆるオーディオブックですね。オーディオブックを聞く時間は、どのように捻出されるのですか」 太田:「私は車で通勤しており、片道45分、往復1時間半です。月に20日間聞いたとすると月30時間分です。また朗読速度も1.5倍から2倍に設定して聞いています。なので、45時間から60時間分、つまり月で5~10冊換算の量が読むことができます」
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