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横浜市会、4時間に渡る質疑で明らかになった12の事実
2019年9月11日から横浜市会(政策・総務・財政委員会)で始まったカジノ補正予算案をめぐる委員会審査。林市長が「白紙」から突如として誘致を表明した8月22日の記者会見資料にはデータ捏造と言って差し支えない内容が記載されていたことは既に
既報*の通りだが、委員会審査でも耳を疑うような事実が次々と明らかになっている。<*
横浜カジノ誘致の根拠データに「作為」発覚。「横浜市の観光消費額は少ない」という欺き|HBOL>
そこで本記事では、カジノ誘致について4時間以上にわたる質疑が行われ、実質的な質疑最終日でもあった9月13日の委員会審査で判明した主な事実12点を紹介していきたい。
下表はカジノ反対の立場の3名の市議会議員(共産・荒木由美子、無所属・井上さくら、立憲・花上喜代志)の質問に対する、横浜市の小林一美副市長や職員の答弁で明らかになった事実をまとめている。
この12の事実は、大きく4つの項目に集約できる。
・カジノありきで検討が進んでいる
・市長の意思決定のプロセスが不透明
・例外だらけのプロセス
・カジノ誘致を進める前に決めるべきことが何も決まってない
以降、12の事実を当日(2019/9/13)の質疑内容を交えながら、順に説明していく。
*質疑内容は筆者が要約した内容の抜粋
No1~2は
カジノありきで検討が進んでいるとしか考えられない事実が並んでいる。
まず、
No1「横浜市は課題に対応する解決策としてカジノを提案したのではなく、カジノ付きIRありきで検討している」について。
これまで「カジノ抜きではIRは成り立たない」という趣旨の答弁を市長や横浜市は繰り返してきたため、その根拠とする資料の提示を井上委員は要求していた。しかし、当日に出てきた資料は民間事業者が単独でIR施設の建設から事業に至るまでの運営は困難であると示した資料に過ぎなかった。その点を井上市議が追及したところ、「政策局として求められるミッションは、横浜でIRをやることが効果があるのかどうかの検討」という横浜市の本音を答弁から引き出している。つまり、
カジノ抜きのIR施設を含めた複数の選択肢をしっかりと検討した結果、カジノ付きIRという結論に至ったわけではない。
以下、この事実が明らかになった後、井上委員が質疑の中で述べたコメントを紹介する。
井上委員:今、局長がいみじくも「我々のミッションはIRをやることが効果があるかどうか」だとおっしゃったけど、それってはじめからIRありきじゃないですか。
続いて、
No2「カジノ抜きの山下埠頭再開発を提案した横浜港運協会の要望書に横浜市は返事すら出していない」について。ハマのドンと呼ばれる
藤木幸夫氏が会長を務める横浜港運協会は、カジノ抜きの山下埠頭再開発を求める要望書を今年6月に林市長に提出している。F1レースやクルーズ船など具体的な提案が盛り込まれているが、現時点で横浜市はこれに回答すらしていない。
以下、この件を花上市議が指摘した際の横浜市とのやりとりの抜粋を紹介する。
花上喜代志副委員長:カジノなしのハーバーリゾートをつくろうとした山下埠頭開発基本計画は横浜市が作ってる。それに関わっていた横浜港運協会が「話が違う」と要望書を出したのだから、せめて返事はすべきでは?
局長:山下埠頭の開発基本計画に則って、我々のIRも方向性は一致してると考えている。どういう手法で実現するか決まってなかったので、IRという手法で実現できるのではと提案している。
花上 副委員長:それはおかしい。手法が違うからと門前払いするような不誠実なやり方はダメだと思う。今からでも遅くない。横浜港運協会の要望書にきちっと正面から見解を答えるべきと思うが、どうですか?
局長:検討過程として判断していると申し上げている。横浜港運協会が提案してきたことに不誠実に、入り口で拒否してる気持ちは全くない。市長が答弁している通り、丁寧に対応していきたいと思っている。
花上 副委員長:最後は「丁寧に説明していきたい」という言葉にいつも行き着くが、今までの説明を聞いてると決して丁寧に説明していない。だから、横浜港運協会も市民も怒っている。やり方として間違っている。今からでも遅くないから要望書に回答すべき。もう一度答えて欲しい。
小林一美副市長:横浜港運協会にも丁寧に誠実に対応する。
花上 副委員長:ということは、要望書に回答は出す?
小林副市長:それも含めて検討する。
花上 副委員長:いや、「検討」じゃなくて、中身のある提案だから「回答」するように強く申しておく。
要望書に回答すべきと実に3回以上も指摘しているにも関わらず、
小林副市長は「検討」という言葉で逃げて、最後まで「回答する」とは約束しなかった。カジノ抜きの再開発が盛り込まれた要望書に返事を出すことすら横浜市がここまで拒絶するのは、最初からカジノありきで検討が進んでいることを示唆している。