「無限の泉」を生活から遠ざけることも有効な手段だ。本書では11の戦術を挙げている。その中から3つを紹介する。
1:「朝の巡回」をやめる
起きた後はネット環境から離れて頭がスッキリしているのに、ニュースやメールチェックで一日を始めてしまっては台無しだ。
習慣的にスマホに手を伸ばし、メールやSNSを見てしまう。寝ている間に何が起こっているか知りたい気持ちはわかるが、気が散る要因となる。ちょっとチェックするつもりが、そのままダラダラといじってしまっては、元も子もない。
2:「事件」を放っておく
毎日起こるいろんなニュースは、速報という形で発信される。それらをひとつひとつチェックするわけにはいかない。
ニュースのほとんどは悪い知らせなので、読めば少なからず気が滅入る。それに、目に入った見出しが今日の決断に関わるかはわからないし、明日、明後日に意味のあるものであるかは疑わしい。いまに目を向け、すべきことをする方がずっといい。ニュースは週に1回、まとめてチェックすることを勧めている。
3:邪魔ものを「ツール」に変える
ソーシャル系アプリやメールがダメなわけではない。目的をもって使えば便利なツールに変わる。
「その活動に、毎日、毎週、毎月、どれくらいの時間を使っているか」「目的を達成するにはそのアプリとどう付き合うべきか」を考えていく。その後、ニュースは週に1回のチェックにする、メールチェックは1日の終わりにする、など対応を決めていく。
著者のひとり、ジョン・ゼラツキー氏は、ツイッターに時間を使い過ぎていたことを悩んでいた。そこで、ツイッターを使用するのは「自分の仕事を広め、読者からの質問に答えるためだけ」に限定した。さらに使う時間も1日30分に制限。使い終えたら、翌日のツイッタータイムまでログアウトしておくという。
社会人になって、「即レス、出来るだけ早い返信こそ正義だ」という考えを先輩や上司から叩き込まれた人は多いはず。しかし本書では、「許される限り遅く」と驚きの提案をしている。
頻繁なメールチェックは時間の浪費につながる。ブリティッシュコロンビア大学の調査によると、メールをチェックする回数を減らすと、幸福度が高まるという。
受け取るたびに対応し、受信箱をゼロにすることにこだわっていては、仕事に支障が出る。少々乱暴な言い方かもしれないが、相手の都合で相手が伝えたいことを送ってくるのがメールだ。都度反応していては、振り回されてしまう。
予定表に「メールタイム」と書き込み、メールを読んだり、どんな対応をするかを決めたりする時間を決めるのは有効な手段だ。
本書では「できる限り早く」から「許される限り遅く」への方針転換が何より大切だとのメッセージが強調されている。多忙でメール連絡にストレスを感じるビジネスパーソンにとっては嬉しいアドバイスではないだろうか。