漫画/榎本まみ
モラ被害妻から依頼を受けると、私は、まず相手方のモラ夫と面談するようにしている。
殆んどのモラ夫は、
「いきなり電話するな」と怒るので、まず、ご挨拶の手紙を送付してから、電話をする。
先日、相手方の夫に電話した。夫は、妻側の弁護士と名乗った途端、横柄になった。妻側弁護士には、妻に準じた序列を与えたのだろう。そして、言った。
「お前では話しにならない。アイツ(妻)と話をさせろ」
アイツ(妻)と話をすれば、アイツを引き戻して、もとの生活に戻れると考えているのだろう。
多くの被害妻、心理職、医療職の専門家たち、離婚弁護士(一部)は、「モラ夫にはモラの自覚がない」と主張する。しかし、これは間違っている。
モラ夫たちは、うまく煽てて聞けば、自分がいかに妻の「指導」に苦労しているかをかなり正確に語ってくれる。
「(妻の)ものわかりが悪ければ、声が多少大きくなったりもしますよね」と訊けば、「声が大きいのは地ですから」と怒鳴っていることをあっさりと認める。
妻の辛さについても、「指導はご尤もだけど、奥様は、いろいろ言われて辛かったようですよ」と振れば、「まあ、私も言い過ぎたかも知れないが、アイツ、精神的に弱いんですよ」などと、妻が辛いことも認めてしまう。
以上、モラは、自らの行っているモラをしっかりと認識しているのである。しかし、支配者/夫として、妻に対する自らの「指導」(モラ)が許されているものと正当化し、反省はない。
モラ夫は剥いても剥いてもモラハラが出てくる、玉ねぎ男
モラ夫は、すっとボケるのがうまい。自分の前言が不利に働くとみるや、「俺は、そんなことは言ってない。勝手に作るな」と妻に逆襲する。前言が否定できないと、「そういう意味じゃない」「本気で言ったのではない」などと逃げ、「(本気でないことも)わからないのか」と妻の理解力のなさを責める。
それでも逃げ切れないと、「(俺に)そこまで言わせるお前が悪い」と妻に責任転嫁する、モラ夫は、剥いても剥いてもモラ夫なのである。
以上、モラ夫は、自らの言動に責任をもつことは考えていない。その場しのぎのモラを繰り出し、妻をやり込めて、支配できればそれでよいのである。