フィンテックと地方創生で再注目される「地域通貨」。気になる通貨は…

高松城

いろいろなカードに相乗りして普及「めぐりん」

 電子地域通貨で「最も定着している」と評価が高いのが、’09年に開始された香川県の「めぐりん」だ。利用者は約3万人、加盟店は高松市などで約500店舗、発行額は年間約2000万ポイントに上っているという。成功の秘訣をめぐりん事務局に聞くと、「地元の商店街の皆さんが応援してくれたこと、いろいろなカードに相乗りさせていただいたこと」だと言う。 「当初は独自のポイントカードに貯められていましたが、その後イオングループの『WAONカード』や、香川大学の学生証、高松市の職員証や高松琴平電気鉄道の『IruCaカード』などに貯められるようになりました」  昨年4月からはマイナンバーカードと連携、クレカのポイントや航空会社のマイレージなどをめぐりんポイントに交換するサービスも始まった。また、ポイントによる寄付もできるようになるなど、社会貢献にも力を入れている。

イオングループと提携した「めぐりんWAONカード」。めぐりんマイル爆発的普及のきっかけとなった

【めぐりんマイル 香川県高松市】  地元企業のサイテックアイが「めぐりん事務局」を運営。加盟店での100円の買い物に対して1マイルを得ることができる。利用者は地元でのスポーツ観戦、健康増進活動などのイベント、ボランティアなどの地域貢献でもマイルの入手が可能。貯まったマイルは、1マイルを 1円相当として買い物などに使える。めぐりんマイルは、レジャーから住宅リフォームや冠婚葬祭まで使えるなど、その利用範囲は非常に広い。また、地元のNPO団体に寄付もできる。

お金で買えない地域通貨

漫画『鉄腕アトム』で、’03年4月7日に高田馬場でアトムが誕生したという設定から、その翌年の4月7日に「アトム通貨」が誕生した

 紙の地域通貨にこだわっているのが東京・高田馬場周辺で使われる「アトム通貨」。’04年4月7日に手塚プロダクションが商店街の人々とともに発行を開始した。この通貨の大きな特徴は、お金では買えないということだ。 「アトム通貨を入手するには、『地域』『環境』『国際』『教育』という理念に沿う社会貢献活動への参加が必要。例えばレストランでマイ箸を使ったり、アトム通貨に関してツイッターに投稿したり、実行委員会が主催・協力するイベントや加盟店でのプロジェクトに参加したりすることが必要です」(手塚プロダクション担当者)  使う際には、ごはん大盛り、一品サービス、ドリンクサービスなどの特典があることも。ほかの地域通貨の多くが電子化する中で、あえて電子化をしないことについて担当者はこう語る。 「特に子供たちにとって、アトム通貨のコレクションはさまざまな社会貢献活動に参加した勲章となるんです。学生スタッフたちの中にも『子供の頃、アトム通貨を集めていた』という若者が何人もいます」(同)  手塚治虫のメッセージは、アトム通貨とともに受け継がれているのだ。

高田馬場アトム通貨

【アトム通貨 東京都高田馬場ほか】  高田馬場・早稲田を中心に流通。通貨単位は「馬力」で、1馬力=1円と換算。10、100、200、500馬力の、4種類の紙幣が毎年4月に発行され、翌年の2月末までが有効期限となる。NPOや町内会、ボランティアサークルなどの地域の団体をはじめ、実行委員会が主催(協力)するイベントや、加盟店のプロジェクトに参加することで入手できる。お金に換算できない行動に感謝の気持ちを込めて渡すことも。新座、春日井、新宿、女川に支部がある。
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海岸のゴミまでもが通貨に?!
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