家を持たず移動を楽しむ!?「アドレスホッパー」という生き方

アドレスホッピングを継続するコツと向いている人とは?

 アドレスホッパーの生活は家を持たないので、常に移動してホテルやドミトリーなどの寝床を確保しなければならない。実際にやる上で市橋氏に心構えや意識するポイントについて伺った。 「アドレスホッピングは全て自分で意思決定をしなければいけない。移動手段や泊まる宿を考えたり、荷物を厳選したりするのが面倒に思うのは大体最初の1~2ヶ月。また、周囲からの目も気になるので心理的なハードルもある。慣れるまでは大変に感じるかもしれないだが、移動を続けているうちにアドレスホッピングの楽しさが分かってくる」(市橋氏)  アドレスホッピングを継続させるためのコツは、移動しながらでも稼いでいける仕事を持つ。そして、移動しやすいように荷物を最小限に抑える。荷物に関しては、トランクルームを使わなくても、月額250円で荷物を預けられるサマリーポケットなど格安の収納サービスを使えば、スマホで管理できるので便利とのこと。  定住する生活とは違うからこそ、日々生活するための工夫を重ねる必要がありそうだ。アドレスホッパーを実践するのに向いている人は、旅好きやバックパッカーのように、移動を楽しめる性格の人だという。 「アドレスホッピングは多拠点生活やデュアルライフのように複数の定住拠点があるわけではないので、移動が苦にならず、日々新しい発見や出会いがある生活を楽しめる人が向いている。今後は移動生活ができる層を増やしていきたいし、移動していること自体を価値に変えていきたい」(市橋氏)

アドレスホッパーを続けながら家庭を持てるのか?

 最後に、アドレスホッパーの生活をいつまで続けるのか。また、家庭を持って拠点を構える可能性について市橋氏に伺った。 「アドレスホッピングは今のところ、やめる理由が見当たらないので続けていくつもり。もし結婚して家庭ができても、子供が小さいうちは移動ができるので問題ないと思っている。しかし、課題は小中学の教育。最近ではホームスクーリング(家庭教育)やアンスクーリング(非学校教育)といって学校に通わない教育手法の認知が広まってきている。学校に通わせず、子供の好奇心に合わせて独自のカリキュラムで教えていくことも視野に入れている」(市橋氏)  日本では学校教育が一般的だが、海外に目を向けてみるとオンラインスクールやアンスクーリングで教育を行う家庭も一定層いるという。「フィンランドの教育と比べ、ファシズム的な日本の教育の問題点」でも書いたが、日本の教育は押し付けや画一的なもので、やりたいことがわからなくなる。  これからAIが発展し、インターネットと物を繋ぐIoTが進化していけば、生活は一変し、「想像力」こそ必要になるだろう。やりたいことを引き出すことが、今後の教育には求められるようになってくる。そう時流を読んだ市橋氏は、アドレスホッパーを体現しながら新しい家庭のあり方を創造する先駆者になるかもしれない。  人の生き方は千差万別。アドレスホッパーとしての生き方や暮らしは、多様なライフスタイルを送り、人生を豊かにする。そんな手段の1つになるのではないだろうか。 <取材・文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。
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