横浜市会、カジノ誘致は「結論ありき」。不自然な「作為」資料についての質疑で浮き彫りに

横浜市会9月11日 政策・総務・財政委員会

横浜市会9月11日 政策・総務・財政委員会(横浜市会インターネット中継より)

「作為」が発覚した横浜カジノ誘致の根拠データ

 2019年8月22日に林文子市長が記者会見でカジノ誘致の根拠として用いた会見資料にデータ捏造が発覚し、9月6日の答弁で林市長はその事実を認めた。詳細は、9月9日に配信した記事、「横浜カジノ誘致の根拠データに『作為』発覚。『横浜市の観光消費額は少ない』という欺き」を参照頂きたいが、簡単にまとめると「全国平均や東京都と比べて、横浜市は観光消費額が少ない。日帰り客も少ない」というカジノ誘致に都合の良い結論を導くために、全く異なる条件で実施された2つの調査データをあたかも同じ条件で実施されたかのように記載していた。横浜市のデータは横浜市の調査、全国平均と東京都のデータは観光庁の調査に基づいている。  例えば、2つの調査において調査時期は以下のように異なっている。 【横浜市調査】:5月下旬、7月中旬、9月下旬、12月中旬 【観光庁調査】:1年間の旅行実態を3 カ月ごとの4 回に分けて調査を実施  宿泊費、新幹線代や飛行機代はハイシーズンとオフシーズンでは2倍以上の差が出ることも珍しくない。だが、横浜市調査では、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆などのハイシーズンが調査期間に含まれていない。一方、観光庁調査は通年を調査期間として、その中で四半期に分けて調査しているためハイシーズンも含まれている。つまり、ハイシーズンが調査期間に含まれていないために横浜市調査は観光消費額が少なくなっている可能性が高い。

横浜市会で「作為」はどう質疑されたのか?

 このデータ捏造は、9月11日から横浜市会(市議会)で始まったIR推進事業補正予算案を審議する政策・総務・財政委員会で議題にあがった。本記事では、このデータ「捏造」、特に調査時期について、無所属・井上さくら市議と横浜市の質疑を質疑信号無視話法分析していく。  具体的には、信号機のように3色(はOK、は注意、はダメ)で直感的に視覚化する。 配色ルール  そして、横浜市の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。 色別集計 <色別集計・結果> ●横浜市:赤信号39%青信号51%、 地の色10% (※小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない)  意外(?)にも、青信号が多い。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
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GWは? 年末は? ハイシーズンは入っているのか?
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