横浜市会、カジノ誘致は「結論ありき」。不自然な「作為」資料についての質疑で浮き彫りに

分析結果2:横浜市調査の実施目的は?

分析結果2 井上さくら市議:こういう一番の最盛期を外しておいて、宿泊が少ないって。なんのためにやっている調査ですか、これ? 横浜市:あのー、年間を通じてですね、ある程度の日、その日が、ゴールデンウィークか年末年始か、ちょっと、あのー、何年か調べてみないと分かりませんので、あとで確認しますけども(赤信号)横浜市の観光実態を把握するためにやっていることでございまして、(青信号) そのように議会にも報告してございます。(再び赤信号)  質問は調査目的に移っているのに、1段落目は1つ前の質問内容にすり替えており、赤信号とした。 【質問】調査目的【回答】調査時期にハイシーズンは含まれるか  また、3段落目も論点をすり替えている。 【質問】調査目的【回答】調査目的の議会報告  さらに続けて見ていこう。このすり替えに、井上議員はきちんと食らいつき指摘する。 井上さくら市議:議会に報告しているとかは関係ない。今回、これだけIR・カジノが必要だと力説する根拠に、日帰りばかりであるということをおっしゃったのならば、これも日常的にやってるので最盛期が抜けているならば、やればいいじゃないですか。散々、2年以上、「白紙」「白紙」と言って、「考えてます」と言っている間に、じゃあ、なんで、その宿泊の多そうな時期の調査をやってないんですか? 横浜市:あのー、先ほど申し上げた通り、横浜の観光実態を明らかにするために、あのー、やはり同じような方法で、毎年やることが統計的には把握できるというふうに、あのー、私どもが判断をしたというふうに思ってます。で、あのー、今回はですね、あのー、「深く検討する」と市長も答弁してますので、この部分については、当然、そこの実態をこれからも明らかにしていく努力をしていこうと思ってます(青信号)。  一応、質問には回答しているため、青信号とした。  しかし、「毎年同じ手法でやることで統計的に把握できる」という回答は、調査時期からハイシーズンをあえて外す理由にはならないのではないか。

「これから明らかに」では順序が逆

 そもそも先にカジノ誘致を表明しておきながら、誘致の根拠となるデータについては「これから明らかにしていく」というのは、井上市議が指摘した通り、「順序が逆」であろう。  当日の質疑では他にも「今回の補正予算3000万円を使って、これから市民の依存症調査を行う」という趣旨の答弁もあり、IR誘致前の意思決定段階で行うべき調査がこれから行われる。これによってIR誘致という結論ありきで横浜市が動いていることが改めて浮き彫りになったと言えるのではないか。 <文・図版作成/犬飼淳>
TwitterID/@jun21101016 いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。
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