ついには、3人はバラバラの独房に移された。部屋にはトイレがあるが、トイレのドアがなかった。天井に設置されている監視カメラから、常にトイレの使用や着替えを見られる状態となっていた。
クルド人女性はその辱めに耐えられず、大声を上げ暴れて「嫌だ!」と拒否をしたが、職員たちは聞き入れてはくれなかった。
彼女は「だって、男性だってカメラで見ているんでしょ?」と抗議したが、女性職員たちは「仕方がない」と答えた。3人は監視カメラの先に誰がいるのかもわからず、日々、屈辱を強いられている。
フィリピン人女性は、もう2年10か月収容されている。
日本人の夫と子供が2人いるが、ある日、女性職員に「子供は面会に来るの?」と聞かれ、そうだと答えたら「もう来させないほうがいいよ」と言われたという。
「まるで自分が恥ずかしい母親のような言い方をされて悔しかった」と語る。
「自分の子供なのに大きなお世話だ」と、怒りをにじませていた。
スリランカ人女性も難民として来日し、帰国できないでいる。わずかに与えられたフリータイムすらも職員たちに見張られ、息苦しい日々を送っていて食欲もない。
心身ともに弱っている彼女は職員たちに毎日、口癖のように「殺してほしい」と訴えていた。
そして9月9日、置いてあったポットのコードで自殺を試みたが、多くの職員の制止により、未遂で終わる。その様子をビデオカメラで撮影している職員もいたという。
すでにハンストを止めている別のフィリピン女性にも話を聞いてみた。
「ハンストは体のことを考え、自主的にやめました。自分は反政府活動をやっていたため、自分の身が危険になって5年前に来日。そこで難民申請をして半年更新のビザをもらっていました。しかし申請は却下され、収容されてしまいました。
5年のうち2年は外で、3年は収容所の中……」
彼女は職員に、「戦争がない国だから難民じゃない」と言われた。「じゃあ、(帰国して)私に何かあったら責任とれるの?」と聞き返すと、職員たちは黙ってしまうだけだったという。
難民の定義とは
「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由」で
「迫害を受けるかあるいは迫害を受けるおそれがある」人々であり、戦争が行われていることだけが難民の理由というわけではない。これを入管職員が軽はずみに言うこと自体、非常に疑問を感じる。
そもそも、イラクやシリアなど実際に戦争があることで知られている国の人たちにも難民認定が下りるのかというと、日本では滅多に認められず、収容された人すらいる。
筆者はフィリピン人女性に、「なぜこんなにも女性は仮放免されないのだと思いますか」と質問してみた。
「女性は、男性と違って弱いから……」
明らかな女性差別と感じているようだった。