イトーヨーカドーのファミレス「ファミール」が全店閉店――跡地問題にも「地域格差」が

ファミール跡はどうなる?――「跡地に積極出店」する企業もあるが…

 さて、それではファミールの店舗跡は今後どうなるのだろうか。  都商研の取材に対し、ある社員は「セブンアイフードとしてファミールは無くなることになった」としており、各店舗の跡地については「(他企業に一括譲渡などではなく)とくに決まっていない」という。  そうしたなか、近年ファミール跡への積極出店を進めている企業がある。それは、大手イタリアンファミレスチェーン「サイゼリヤ」だ。とくに2017年度に閉店したファミール跡のうち、現在はその半分以上にサイゼリヤが出店。大量のファミール跡は、同社の店舗網拡大に一役買うこととなっている。
ファミール跡地に積極的に出店するサイゼリヤ

ファミール福島店跡に出店したサイゼリヤ(福島市)。
店内外は全面改装されており、かつての面影はあまりない

 とはいえ、サイゼリヤは大都市圏以外の店舗は比較的少なく、最後までファミールが残ることとなった県の1つである青森県をはじめとした北東北には2019年現在1店舗も出店していない。そのため、同社が居抜き出店したファミール跡の多くは首都圏とその周辺地域(福島県、長野県など)に留まっており、今年ファミールが撤退した秋田県など元々サイゼリヤの店舗が存在していない地域(=殆どが地方都市)では多くの跡地が空き店舗のままとなっている。
期日前投票所になったファミール恵庭店跡

後継店舗が決まらないまま「期日前投票所」となったファミール恵庭店跡(北海道恵庭市)。
イトーヨーカドー恵庭店自体が9月29日での閉店を発表したため最後まで「空き店舗のまま」に

 50年近くに亘って「スーパーマーケットのハレの場」として多くの家族に親しまれたファミールであるが、「店舗の跡地問題」にも地域格差が生じることになりそうだ。
おなごりハンバーグ

「おなごり食事」をするなら今のうちだ。

<取材・文・撮影/淡川雄太・若杉優貴(都市商業研究所)>
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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