東北道上り線佐野SA「スト」を報じるメディアに抱いた違和感

労働者側の声も「スト破り」の可能性も報じぬメディア

 このように、佐野SA運営会社「ケイセイフーズ」の今回の”ストライキ”は、一筋縄ではいかない様相を呈している。しかし、一旦その当事者間の争いを離れてみると、明確な問題点があるように思う。  それは、多くのテレビメディアが、なぜこのような事態になっているのか、現場の労使間の主張をキチンと取り上げて明確にすることをないがしろにして、利用客が迷惑だ、困った、残念だと言っている声ばかり紹介した点である。  メディアであれば、営業再開を喜ぶ利用客の声を報じたとしても、その一方で、従業員がこのような行為に踏み切るに至った経緯を報じる必要があるし、この営業再開についても、違法行為ではないとしても、「スト破り」と呼ばれる行為である可能性が高い点などについても、同じくらい時間を割いて報じるべきではないだろうか。一方的に利用客が不便を訴える様子を映しているだけでは、「ストライキは労働者の権利」であることすら忘れ去られてしまう。  折しも、NHKの朝ドラ『なつぞら』でも、主人公たちが会社と交渉を行う様でも頑なに「組合ではない」ことを強調するかのようなシナリオに、SNSでは疑問の声があがっていた。  メディアがこうして組合活動をタブー視したり、世間からネガティブな視線を受けるようなものであるように報じる風潮は、結果として労働者の環境を悪くしていくことに繋がってはいないだろうか? <文/HBO編集部>
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