上記のフレームワークのほかにも、私はこれまで目標達成に関する理論や研究結果を調べ、それらをもとにさまざまな目標達成にチャレンジしてきました。
それらの経験を踏まえて言うと、目標達成のための重要なポイントはわずか3つだけです。これを以下で解説したいと思います。
1.
具体的で期限つきの目標を立てる
たとえばダイエットであれば、ただ「ダイエットをする」ではなく、「●日までに、●kgまで落とす」という目標にすべきです。それは何故か? そもそも、曖昧な目標では人間はあまりやる気になりません。「いつまでにどういう状態になりたいのか」が明確になって初めて、その目標を達成するためのスタートラインに立てるわけです。
また、曖昧な目標のままでは、以下で述べる「そのための戦略と計画」を立てることが困難です。具体的な期限やゴールラインが明らかになって初めて、行動の優先順位やそこに至るための具体的な方法を検討することができるのです。
そして、曖昧な目標を具体化する際には、上記の「SMARTの原則」が参考になるでしょう。
2.
そのための戦略と行動を検討する
目標が具体的になったら次に、上記の「GOSPAモデル」のように、その目標を達成するための戦略や行動を検討します。この戦略立案にあたっては、立案のために必要になる情報を収集し、分析することが必要になります。
たとえば私がダイエットを試みた際には、まず一日の中で食べているメニューを書き出して総カロリーを算出し、あと何カロリー減らせば消費カロリーを下回ることができるかを計算しました。そして、ふだん摂取している食材のなかで、どうしても外せないものの優先順位をつけていくと、最後に「ビール」が残りました。
つまり、毎日飲んでいるビールを我慢すれば、摂取カロリーが消費カロリーを下回ることができる=体重を減らすことができることがわかったのです。そこで私は、「ビールを我慢する」という戦略と行動をとることにしたのです。
このように、新しい行動や習慣をとりいれる際には、事前に具体的な戦略や計画を立てると、前頭前野(人間を行動に駆り立てる部分)が覚醒し、うまくいきやすくなると言われています。
3.
難易度を充分に下げてから始める
この最後の項目が最も重要です。達成のための戦略や行動を明確にしたなら、上記の「マイクロ目標」にあるように、その行動を出来る限りミクロ化して、難易度を下げきってから始めるべきです。
目標達成が失敗に終わる理由のほとんどは、その行動のハードルが高すぎることにあるそうです。42.195km走るようになるには、まずは10km走ることから始める……いや、これでもダメです。まずは1km走るくらいから始めましょう。いきなり10km走るよりも、1kmから徐々に、2km、3km、4kmと距離を増やしていくほうが圧倒的に楽なのです。
私の場合は、いきなりビールを断つ自信がなかったので、ノンアルコールビールに変えることから始めました。いや、それすら自信がなかったので、普通のビールをノンアルコールビールで割って飲むことから始めたのです。
始めは、ビールとノンアルコールビールの割合を8:2くらいで割っていたのを、徐々にノンアルコールビールの割合を増やしていき、最終的にはノンアルコールビールだけにすることができました。そして次は、ビールの代わりにノンアルコールビールで我慢する日を少しずつ増やしていき、最終的には目標体重まで落とすことに成功したのです。
自分の取り組もうとしている行動の難易度を下げるにはどうしたらいいか? この検討には、意外とクリエイティブな発想力も必要になります。行動の量を減らすのか、頻度やスピードを落とするのか、行動の質を下げるのか。こうした検討・分析は、実は行動そのものよりも重要だったりするのです。
今一度整理すると、目標達成のコツはたった3つです。
1.
具体的で期限付きの目標を立てる
2.
そのための戦略と行動を検討する
3.
難易度を充分に下げてから始める
どれも、よく言われるようなことかもしれませんが、その分とても重要なポイントです。これらに留意して、ぜひあなたのこの夏の目標を叶えてください。