漫画だけじゃない! コミケのもう一つの顔、「同人技術書」の世界

マンガやHな本以外のコミケの世界

 この記事を読んでいる人で、コミケに行ったことがある人は、どのぐらいいるだろうか。コミケの世間一般のイメージは「マンガの二次創作が売っている。Hなものも多くある」といったところだろうか。しかし実際は、多様な表現が集まる場となっている。  コミケの多様なジャンルを知るには、ジャンルコード一覧を見るとよい。参加サークルをグループ分けして配置するために、ある程度の規模があるジャンルにはコードが付いている。参加サークルは、申込時にどのコードに該当するか記入する。  『進撃の巨人』などの大人気作品だと、作品自体が1ジャンルとしてカウントされる。『スクウェア・エニックス』のように会社がジャンルになっているケースもある。そうしたもの以外の一般的な区分を中心に、いくつかのジャンルをピックアップしてみよう。 「創作」「歴史」「学漫」「同人ソフト」「ゲーム」「評論・情報」「鉄道・旅行・メカミリ」「TV・映画・芸能・特撮」「音楽」「コスプレ」……。  こうしたジャンルを見ると分かるが、マンガだけでなく評論やソフトウェア、音楽、写真、グッズなど多様な表現が存在している。こうした中で、個人的には文字が中心となっている評論・情報系の同人誌が面白いと思っている。  たとえば、テレビ番組の情報を集計したもの、サバ缶についての情報をまとめたもの、高専ロボコンの情報をまとめたものなどは、こうしたジャンルの本になる。書店で商業誌として出版されていない内容の本が多数ある。  こうした本の多くは、地方の同人誌即売会や中小規模の即売会などでは、ほとんど売れなかったりする。しかしコミケほど巨大になると、物好きな人が多数集まるために数が出たりする。そうした本を渉猟するのは、好事家的な楽しさがある。

筆者も参加している同人技術書の世界

 こうした評論・情報系のジャンルの中で、近年伸びているものがある。同人技術書だ。ジャンルコードとしては「同人ソフト」になる。筆者が出展しているジャンルも「同人ソフト」だ。私は元々同人ゲームを作っていたのだが、いつの間にかおまけで作っていた技術書の方がメインになってしまった。  同人技術書のブームは2016年前後から始まった。この少し前から始まった、翔泳社の『CodeZine』での、コミケ時期の技術系同人サークルの紹介。2016年6月25日に第1回が開催された『技術書典』。こうした流れに乗って、同人技術書が売れ出したという実感がある。  同人技術書の雰囲気をつかんでもらうために、コミケに出展しているサークルから、筆者が興味を持ったところをいくつか紹介しよう。  コミケではカタログを見て、事前にどういった本を買いたいのか予定を立てられる。近年は、Webカタログ(要ログイン)を利用して、Web上で情報を確かめることもできる。このWebカタログで、同人ソフトのジャンルを一覧表示して、紹介文を全部読んで気になったサークルを抽出した。  個人の興味での選別なので、他の人とはピックアップする内容が違うだろう(というか滅茶苦茶偏っている)。実際には、同人ソフトのジャンルだけでなく、評論・情報のジャンルで出展しているサークルもあるので漏れは多い。自身で情報を確認して、興味がある本があれば会場に足を運ぶとよいだろう。  以下の情報の「新刊」については、筆者調べなので実際は異なる可能性がある。イベントについて広報をしていないサークルも多いため、情報を調べるのは難しい。「おそらく」と付いてある新刊は、直前のイベントなどで新刊だった本だ。サークルのリンクについては、WebサイトやTwitterなどの中で、更新が継続しているもの、有用だと思われるものを1つ選ぶことにした。掲載順はカタログ順になっている。  私自身は「るてんのお部屋」(月-南ナ48b)というサークルで『レトロ風RPG フルスクラッチ開発 全コード』という本を出す。レトロ風のRPGを、ライブラリなどを使わずに1から作り、その全コードを掲載して解説するという本だ。作成したRPGも付属で付いてくる。  以下、私がピックアップしたサークルのリストとなる。参考にして欲しい。
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筆者が気になったサークルは?
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