取引高世界一のビットコインFX取引所で世界5位となった日本人を直撃!

最初にビットコインを買ったのはバブルの真っ只中。1枚120万円のときでした

 FXで順調に利益を積み上げるようになった頃、仮想通貨市場が盛り上がり始めた時期だった。 「今度は仮想通貨をやってみようとイチから勉強しました。為替や株をやっていたため『うさんくさい』と先入観があり、バブルにはまったく乗れませんでした。なのでデビューは遅い部類に入ると思います。初めて買ったのはバブル真っ只中の’17年12月。ビットコインを120万円で買いました。界隈から億万長者が続出しているし、自分にも可能性がある……」  そう感じたハゲ先生は驚きの行動に出る。 「税金のことを考えて急遽、香港へ移住しました。成功への確信? まったくなかったです。儲かる前から税金の心配をしてました(笑)」  ところが、ハゲ先生の参入とほぼ同時に仮想通貨バブルは破裂。窮地に追い込まれた。 「なんとしても稼がないと、香港へ移住した意味がない。そう思ったのが’18年6月。ちょうど大手仮想通貨取引所に業務停止命令が下るのでは? との噂が流れていた時期です。だったらビットコインをショートしよう、と考えた。当時の資金はざっくり1000万円ほどでした」  軽い気持ちで始めたビットコインのトレードだが、チャートを見るうちにあることに気がついた。 「動きが為替にとてもよく似ていたんです。慌ててビットコインのチャートをさかのぼって研究すると、直感は当たっていました。動き方が驚くほど米ドル/円と似ていた。『このタイミングで上がってくるだろう』と思ったところでピタッと上がってくる。マーケットメイクのアルゴリズムが為替と同じなのでは? と考えたりもしました」

市場には支配者が潜む。1分足と水平線から大口の思惑を読み解け!

 仮想通貨市場に「見えざる手」が存在するのでは? との推察は、やがて確信に変わった。 「チャートを見ていて『この水平線を割れれば暴落は確実だろう』というラインに達したとき、自分で売り浴びせて崩そうと試みたことがあります。商いの薄い時間に断続的にショートを積んでいき、合計3000BTCほど仕掛けました。ところが、驚くことにどこからともなく買いが湧いてきて落ち切らない。これで確信したんです。“支配者”はここで割らせたくなかった。チャートの絵を描いている人がいるのだろう、と。彼らは個人投資家では歯が立たない規模の資金を操ってマーケットメイクしていると確信しました」

2018年6月から参入し爆益ロードを邁進!
ある日本の取引所に対する業務停止命令の噂をきっかけに売りで参入。1500ドル幅の下落で利益確定し、即座に買いへと転じた。わずか2トレードで元手14BTCは260BTCへと18倍へと急増した

 大口の存在は、アルトコインの値動きも傍証になる。 「どう考えても実用性がないアルトコインでも上がったり下がったりする。値動きを利用して儲けようとする大きな力が存在するからです。その力には逆らってはいけない、と痛感しました」  最初の売りポジションは20日ほどひっぱって利益確定し、1トレードで98BTCの利益に。それと同時にドテンして買っていくと161BTCの利益となった。この頃にはビットコインを中心に生活が回っていた。 「私、とことんやる主義なんです。香港ではやることもないし、四六時中チャートを見ていました。1週間の睡眠時間が10時間ほど。モニターの前で気絶することも頻繁だったし、ベッドで横になるときも価格アラートをかけていました」  主要な取引所のチャートを4枚のモニターに映し、ひたすら凝視する日々。 「基本は1分足。動かし方が早いか、遅いか。どう動かすのか、どんなヒゲをつくるのか、どこで止まるのかを見るには1分足が重要だからです」  チャートに表示するテクニカル分析は移動平均線だけだ。 「200の移動平均線を出していますが参考程度。仮想通貨であれ為替であれ、いちばん大事なのは高値・安値に引いた水平線です。大きく動かすにはロスカットさせるのがいい。だとすれば、『どのラインを殺しに行くだろう』、『動いてもこのラインで止まるだろう』ということを判断できる水平線がもっとも重要です」  6月から11月にかけて8回のスウィングトレードを行い、口座残高は1600BTC(約10億円)を超えた。 「ビットコインは11月14日に底割れし、ショートを決済。リーダーズボードで5位になりました。短期売買を中心に行っている別の口座もあったので、合計では2000BTCくらいの利益です。ただ、ここで大きな判断ミスがありました―」  1日2時間寝るかどうかという生活が5か月目に突入。精神状態の悪化が判断を狂わせた。

利益10億円→3億円で撤退

「まっとうな生活を送っておらず、今振り返るとうつ病に近い状態だったんだと思います。ビットコインの底値は3000ドルだろうと予想しており、まだ下落する余地があるのに途中で全力でロングしてしまった。相場が3000ドルへ向かっていく中、いつ切るかと悩んでいる最中に気絶してしまい、強制ロスカットです。残ったのは3億円程度。情けないなぁと……」

利益10億円→3億円で撤退
’18年11月に起きたビットコイン暴落。暴落の初動では利益をあげたものの寝不足による判断ミスで買い建て。損切りも遅れて強制ロスカットに。一時は10億円あった利益は3億円へと急減し引退宣言へ

 傷心のハゲ先生は心身を回復させるべく帰国し、相場から距離を置いた。 「うつ病の症状が出ていたし、体重は10㎏以上も減っていました。相場のことを考えない生活をして、やっと回復したばかりです」  また相場に復帰するのだろうか?
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今はベトナムで新たな事業を進めている
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