指示や命令で部下が動かないのは上司のせい!? できる上司はどう動かす?
一対一の対話でも、一対多数の会議でも、先輩が後輩に対して、上司が部下に対して、従ってほしい方針や取り組んでほしい内容を説明して、「質問がありますか?」「意見がありますか?」と聞いても、返答がないことがある。
こうして質問や意見がなかったことにほっとして、中にはこれで実施してくれるだろうと思ってしまう人もいる。しかし、そうして安心していると、実施されないということが実に多い。
中には、なぜ質問がないのか、なぜ意見がないのかと思い、本当にわかってくれているのだろうか、実際に行動に移してくれるだろうかと不安に思う人もいる。
それが高じると、「質問を出せ」「意見を言え」と畳みかけてしまい、そうすれば質問や意見が出始めるかというと、決してそのようなことはない。むしろ、相手はうつむいて貝のようになってしまう。そんな経験をしたことのある人も多いに違いない。
「質問や意見がないのは、相手に問題がある」「発言できないようでは、ビジネスパーソンとして低い」と考えて、それは敏感に相手に伝わり、先輩と後輩、上司と部下の関係を悪化させてしまう。
実は相手から質問や意見が返ってこないという状況の大半は、先輩側、上司側、方針や内容を説明する側にあるのだ。
方針や内容を説明しても質問や意見が返ってこない場合、先輩や上司がその方針や内容を押しつけている場合が実に多い。
「この方針で実施してください」「この内容で取り組まなければなりません」「来週までに実施してください」「取引先に依頼してください」……。ああしろ、こうしろと指示・命令形が多用されているケースがほとんどだ。
相手は辟易としてしまい、当初は質問や意見を発言したかもしれないが、発言すればするほど、ああでもない、こうでもないと、また畳みかけられて、あきらめの境地に至り、発言しなくなる。質問や意見が返ってこないケースは、相手があきらめている状態だ。
このように申し上げると、「そんなことはない、丁寧に話しているつもりだ」「押しつけないように気をつけている」「事実、質問や意見を聞いているではないか」と思う人もいるに違いない。筆者もそのような見解に接することがある。
そう思ったら、是非、一度、対話や会議で話している自分の言動を自撮りして、その動画を自分で確認してみることお勧めする。自分で思っている言動と、実際にビデオに映っている言動と、印象が大きく違うことに気づくはずだ。「自分ではそんなつもりはまったくないのに、相手からはそう見えているのか」と思う人が多い。
質問や意見が出なくても油断は禁物
返事がないのはあきらめのサイン
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