「FXは今、外貨預金の代替として輝く時期です。僕も米ドル/円を買い始めて1年以上経ちました。レバレッジを抑えているので1000万ドルに満たない程度のポジションですが、年収以上のスワップが入ってきます」
そう話すのは、「大学生億トレーダー」として以前にも取材に応じていただいたタカシ氏だ。イギリスのEU離脱交渉などの大相場で稼いできたタカシ氏はこの1年、しつこく米ドル/円を押し目で買い続けているという。
「3月で大学を卒業して、就職したんです。以前に比べるとチャートを見られる時間が減りました。そこで、長期的に放置できるポジションを増やしていこうと考えたんです」
米ドル/円の買いを選択した理由はどこにあるのだろうか?
「『明日のお金』を稼ぎたいのか、『5年後のお金』を稼ぎたいのか、です。基本的に為替市場は長期で見るとノイズが少なくなり、見通しが立てやすくなります。日本はどうかといえば、デフレマインドが残り、金利を上げることは難しい状況。ゼロないしマイナス金利のままで円は売られやすい。じゃあ、円を売って何を買うべきか? 長期的に下落トレンドにあるトルコリラや南アフリカランドではないことは明白でした」
安定した値動きが米ドル/円買いの決め手になったわけだ。
「アメリカはリーマンショック以降、着実に経済を回復させ、先進国のなかでいち早くデフレを脱却しました。その結果、継続的に利上げを実施して、今や政策金利は2.5%にまで上昇している。新興国に比べたら低いと思うかもしれませんが、1万通貨で1日80~90円ほどのスワップがもらえます。1万ドルで年3万円ですから十分な水準でしょう」
’15年以降利上げが続く米国 図版/ウエイド
しかし、トルコリラの政策金利は約10倍。24%だ。
「新興国通貨では、これまでに多くの個人投資家が資産を吹き飛ばしてきました。一時は日本のトルコリラ/円ポジションの99%がロングだったので、出口の見えない下げトレンドで資金を溶かす人が続出したのです。その原因が高金利にあるのは間違いありません。高金利と裏表の関係にあるリスクを分析せず、ほとんどの人が資金管理も考えずに過剰なポジションをとってきた。トルコリラのように馴染みのない通貨に関する情報は伝わるのが遅くて、相場の見通しが立てにくいのに……。その点、米ドルは生活の中で自然とレートを耳にするもの。適度な緊張感を持って資金管理できるんです」
仕事のある兼業トレーダーだと、FXに費やせる時間は少ない。トルコ情報を追いかけるには手間も時間もかかるが、米ドルならば情報収集は容易だ。