スチュワードシップ・コード導入がモノ言う株主増加の契機
「’14年にスチュワードシップ・コード(機関投資家が投資先の不正監視などを行うための行動原則)が導入されたこともあって“モノ言う株主”が増加。経営陣が提示する議案に対して反対票が多数投じられる総会も増えています。今や『プロ同士の戦いの場』なんです。その反動で、株主平等の原則に反するとしてお土産を廃止する企業が増えているのは残念なことですが、見応えは十分。大手企業の事業報告を聞くだけでも楽しめます。今年のホンダのプレゼン動画は『映画⁉』と思うぐらい凝ったものでしたから」(mtips氏)
まさしく“戦いの場”として総会を利用する個人投資家もいる。
「僕が好んで投資している銘柄は時価総額が小さく、株主総会の参加人数も少ない。数年前まで一般株主の参加者が僕一人という総会もあった(苦笑)。でも、小さい会社の総会のほうが絶対面白い。IR担当者からは『お答えできません』とはねつけられる質問でも、総会なら経営者に直接ぶつけられるからです。小さな会社なら質問者が少ないので、顔と名前も覚えられやすい」(かぶ1000氏)
質問から投資の材料を引き出せることもあるとか。
「中古車買い取り事業を展開するアップルインターナショナルの一昨年の総会では、減益決算でも自己資本比率が改善していることを指摘したうえで『復配は考えていますか?』と質問したら、『当然、考えている』という回答をもらえたんです。それを材料に株を買い増したら、昨年2月に8期ぶりの復配を発表して株価が急騰。1400万円以上の利益が出ました。似た理由で、現在は丸八ホールディングスの株を保有し続けています。不動産事業は堅調な一方、本業の寝具の訪問販売が苦戦続きなのですが、配当に関しては30円配当を維持することを株主総会でも明言していました。配当利回りは3.7%と高いので、インフレに強い債券の感覚で保有しています」
復配や増配の要請は総会にありがちな質問だが、建設的な提案を行ったうえで要求するのが、かぶ1000氏のスタイル。さらに、継続して参加するほど、質問の“効果”が増すという。
「昨年の総会で引き出した答えが守られていなければ、それを踏まえた新たな質問をぶつけることができるし、売却を検討しようというサインにもなる。さらに、何度も参加していると、経営者の顔色で業績が読めたりもする。サイバーエージェントの藤田晋社長でも顔に出る。総会での表情が暗かった年は業績がかんばしくない傾向にありました」(すずき氏)
参加する楽しみ以外に、投資の材料をゲットするチャンスもあり。来年こそは株主総会へGO!