大切なのは、国民の安全と命よりも、トランプ大統領のご機嫌
さらに安倍首相の演説には、虚偽的発言も盛り込まれていた。その一つが、安全保障政策を進めるには「地域の皆さまの理解」が不可欠と言った部分だ。
秋田でも山口でも地元住民の合意が得られていないのに、安倍政権は今年4月、イージス・アショア2基の購入契約を締結していた。
見切り発車で既成事実を積み重ねて地域住民の諦めを誘い、「地元の理解が得られた」と後付をする詐欺的手法といえる。
もう一つの虚偽的発言が「国民の安全を守り、命を守り抜いていくためにはイージス・アショアがどうしても必要」という部分だ。これは米国シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の論文「太平洋の盾 巨大な“イージス駆逐艦”としての日本列島」と並べ合わせると、安倍首相の“虚偽的発言”を見抜くことが可能だ。
論文の要点は、
秋田のイージス・アショア配備はハワイの米軍基地を守る米国防衛前線基地として機能し、米国防衛予算10億ドル(約1100億円)節約になるという部分。
「日本国民の安全と命を守る」のではなく、米国本土防衛のための前線基地に秋田がなるということだ。
購入の経過を見てもそれは明白。かつて4隻で現在は6隻のイージス艦を8隻にする倍増計画が進行中だった2017年11月、日米首脳会談でトランプ大統領の米国製兵器爆買要請を安倍首相は快諾、翌月にイージス・アショア購入が閣議決定された。
イージス艦8隻で十分だったのに、米国に「NO!」と言えない安倍首相は莫大な国民の税金を投入すると同時に、
日本の領土の一部を有事の際に攻撃対象となる危険エリアとして差し出す羽目にもなったのだ。
「秋田県民の安全と命を守ることとには逆行しますが、トランプ大統領のご機嫌を損ねないためには、イージス・アショア購入がどうしても必要」というのが実態ではないのか。
そこで、一か所目の応援演説の後に安倍首相を直撃した。
「秋田が攻撃対象になっていいのですか、イージス・アショアで」と声をかけたが、安倍首相はこちらを一瞬振り向いて手を振った後、すぐに顔を背けて無言のまま車に乗り込でいった。
2か所目と3か所目の応援演説でも、再直撃を試みようとした。札幌の首相演説にヤジを飛ばした市民が排除されたのと同様、秋田県警の警察官にブロックされて至近距離まで近づくことはできず、再び声をかけることはできなかった。