森友学園報道のスクープ報道で安倍政権に忖度!? NHKを退職した記者が語る「報道の危機」
報道局長が介入してきたNHKの森友報道

相澤冬樹氏
報道局長賞の受賞と同時期に記者職から外され、NHKを退職
「そのニュースの放送から3時間ほどたってから、激怒した小池英夫報道局長が、私の上司である大阪のA報道部長の携帯に電話をかけてきたんです。私はたまたまA部長の目の前にいました。『私は聞いていない』『なぜ出したんだ』と、私にも聞こえるくらいの大声で怒鳴られていました。
社会部長が説明したはずだから、聞いていないはずはない。きっと社会部長はニュースを通すため、わざと重要性がわからないように説明したのでしょう。それで、報道局長は『そんな重要なニュースだとは聞いていない』と怒っていたのだと思われます。
電話を切った後、『あなたの将来はないと思え、と言われちゃいましたよ』とA部長は言いました。しかし私は『それは私のことだろうな……』と思いました。
もうひとつ、この時におかしいなと感じたことがあります。それは、報道局長が電話をしてきたのが、ニュースから3時間ほどたっていたことです。もしもニュースを見て激怒したのなら、ニュースが終わった直後に電話をしてくるはずですよね。
ではこの3時間のタイムラグは何なのか? おそらく自分でニュースを見て激怒したのではなく、ニュースを見た“他の誰か”が激怒して、報道局長に何かを言ってきた。報道局長はそれを受けて私の上司に電話をしてきたから、時間がかかったんでしょう。
では、“他の誰か”とは誰でしょう? NHK内部の人ではないでしょうね。報道局長は報道部門のトップですし。小池報道局長が安倍官邸の人たちと近いことは、よく知られています。そこから圧力があったんだろうなあと私は推測しています」
相澤氏は森友事件に関するスクープ報道でNHK報道局長賞を受賞。それと同時期に、社内の人事異動で記者職から外されて「考査部」に移されることになる。
「私はNHKで31年間、記者を続けてきました。これからも生涯、記者でいたいと思っていました。しかも森友事件の取材の真っ最中に、担当していた記者を外すというのは信じられません。報道局長賞の受賞も同時期でした。
民主党政権やその前の自民党政権でも“政権の意向”というのは感じましたが、安倍政権になってからは露骨に政権の意向を忖度するようになりました。もうここにはいられないなと思い、退職しました」
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