かぼちゃの馬車、デート商法以外にもまだあった、[スルガ銀行]詐欺関与の全貌
スルガ銀行HPに「当社に関する一部報道について」という発表が掲載されたのは5月17日のこと。同行の行員(すでに懲戒解雇処分済み)が「デート商法」に加担し、個人向け無担保ローンの不正融資を行ったことを認め、その調査結果を公表したのだ。
デート商法をめぐっては、20代の被害者女性が、スルガ銀行や投資詐欺を行ったとされるコーポレートプランニング(以下、コーポ社)の社員などを相手取り、計220万円の訴訟を東京地裁に起こしている。新聞やテレビでも大きく報じられた一件だ。だが、これは氷山の一角だった。今回、取材したところ同じスキームで投資詐欺を持ちかけられ、被害に遭ったケースは20人以上いることがわかった。合算した投資総額は1億円以上に上るのだ。昨年、スルガ銀行はシェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐる不正融資で世間を騒がせたが、同行にはまだ明らかになっていない不正があった!
今回、コーポ社が行う投資詐欺のターゲットになったのは、主に社会経験の浅い20代前半から半ばの若者たちだ。被害者に共通しているのは、投資の契約書がないこと、最初の2~4か月は配当が支払われるが、その後は支払いが滞り、音信不通になってしまう点。さらに投資する際、お金は銀行振り込みのほか、現金手渡しでも行っていたという点だ。ターゲットになった人のなかには、うつ病で休職中の人や低収入で将来に不安を抱く社会的弱者なども含まれている。コーポ社は東京・六本木や新宿などで複数の飲食店を営むほか、婚活イベントや異業種交流パーティを行う企業だ。
同社が行うイベントや会合に参加することで、被害者との接点がまず生まれる。スルガ銀行から400万円を借り入れたというDさん(25歳)はこう話す。
「人生を変えたくて、いろいろなセミナーや交流会に参加していました。その中で、コーポ社の営業部長であるNと知り合いました。自分とさほど年が変わらないのに飲食店を2つも経営していて、投資や金融の知識も深い。すごい人なんだと、信用しました」
N氏から紹介されたのが、月利3%(年利36%)で元本保証という新規事業への投資だった。
「人生を懸けてNから成功する秘訣を学ぼうと決意していましたから、すべての貯金とできる限りの借金をして、注ぎ込みました」
最初の3か月は配当が支払われたことから、Dさんは「すごい人がいる」と高校時代からの友人をはじめ、10人以上をN氏に紹介してしまう。Dさんの紹介で同じく投資話に乗ってスルガ銀行から200万円の融資を受けた、会社員のYさん(24歳)はこう話す。
「老後や将来が不安で、投資に興味を持っていたところ、Nを紹介されました。でも最初は内心、胡散臭いなと感じていたんです」
投資しようと心変わりしたのは、スルガ銀行の存在だった。YさんがN氏に連れていかれたのは営業終了後の中央林間支店の会議室。そこに副支店長と称するM氏(前出の懲戒解雇された行員)がおり、投資するよう説得されたのだ。
「夜の7時ごろで、こんな時間に会議室を使えるなんてすごいと驚いたんです。そこでNとMの話を聞いているうちに、あれよあれよという間にローン契約になり、融資の全額をNに投資する段取りになってしまった。今思うと、2人は完全にグルだったんです」
200万円という大金を、年利8%という高金利の無担保ローンで借りたYさんは「銀行が融資するくらいだから大丈夫」と考えていた。その後、自分でコツコツ貯めた預金に加え、祖父母と両親が積み立ててくれた結婚資金をも注ぎ込み、計500万円をN氏に投資することになる。
N氏は他の被害者に対しても「スルガ銀行との関係」を最大限に利用していた。今回、被害に遭った人たちは、いずれも異なる場所で契約を結んでいる。N氏が経営している六本木の飲食店、コーポ社主催の交流パーティ、六本木のバーなどなど。しかし、いずれもM氏がローン契約書を持ってその場所に出向いているのだ。
「投資詐欺というのは、口先だけで信用できない人たちがやるものだと思っていました。実際にお店を経営し、銀行と付き合いもしっかりあるということで、すっかり安心してしまったのです」
スルガ銀行から350万円の融資を受けた別の被害者Tさん(27歳)はこう言う。会社を辞めて独立したばかりで収入が安定せず、不安を覚え始めたときだった。N氏に持ちかけられたのは月利4%の投資話。事業計画書や工事中の新店舗の動画を見せられ、言葉巧みに投資するよう持ちかけられた。
スルガ銀行でローンを組まされた20代の男女が一斉に告発!
「銀行と付き合いもしっかりしてて、すっかり安心してしまった」
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