ダイワハウス、約2000棟で施工不良が発覚。「型式適合認定」が諸悪の根源

コストダウンと大量仕入れが可能に

一戸建て

※写真はイメージで、本文とは無関係です

 型式認定を受けるためには、①すべての部材の3分の1以上を認定された工場で製作すること、②建築現場を一級建築士に管理させること――の2つをクリアすることが条件となっている。だがこの2点をクリアできるのは、大規模な工場を持つ大手ハウスメーカーだけだ。  実際、型式認定制度を利用しているのは、今回問題になったダイワハウス以外に、積水ハウス、旭化成ホームズ、トヨタホーム、パナホーム、ミサワホームに限られる。これらのメーカーが利益を上げるために存在するのが型式認定と言っても言い過ぎではないだろう。  認定を取得する際、大手ハウスメーカーは、柱の形状や、鉄骨部材の厚みや太さなどをコストと見合わせてぎりぎりまで小さく薄くする検討作業を行う。そしてそれらを組み合わせて必要最小限の部材だけで家をつくることになる。 「型式認定によって、柱や梁などの主要構造部の鉄骨を極限まで軽量化できるのですから、工務店など、建築基準法に則ってつくられた住宅より確実に耐震性能は劣っていることは明らかです。  例えば建築基準法では柱の幅が10センチメートルは必要であっても、7センチメートルでも認定機関の判断によっては型式認定が取得できてしまいます。『たかが3センチメートルの差』と侮ってはいけません。大手ハウスメーカーは年間何千棟という規模で住宅を建てているわけですから、1棟当たりの柱を細くし、鉄骨の量を少なくできれば、相当のコストダウンがはかれますし、当然莫大な内部留保にもつながります」(岩山氏)  型式認定は大量生産だけでなく、大量仕入れの面でも効果を発揮する。岩山氏によると外壁材やフローリング、サッシなど、施主が建材メーカーや商品を自由に選べない住宅が多いのは、この大量仕入れのためだという。 「軽量鉄骨メーカーは、コストダウンと総量取引で原価をどんどん安くして、利益率を押し上げています。1棟当たりの原価を下げ、コマーシャルによって売値を上げれば、莫大な利益を得ることができるという仕組みです。そこには、建築主に良質の住宅を提供するという姿勢は、残念ながら見ることができません」(岩山氏)  ダイワハウスは、型式認定に不適合であっても「建築基準法の範囲内」と説明しているが、その型式認定制度そのものの信頼性が揺らいでいる。戦後慢性的な木材不足から、外材を輸入するだけでは間に合わずに鉄を使用して住宅を量産し量販しようと考えられたことから生まれたものだが、型式認定によって質の低い家が今後ももたらされるのであれば、制度そのものを根本的に見直す時期に来ているのではないだろうか。 <文/藤池周正(ライター)>
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