枝野代表、山口代表が選択的夫婦別姓に明確な賛成意見を述べた中、「慎重に議論する」としか回答しなかった安倍総理。ここで小川彩佳キャスターは安倍総理にだけ再質問する。しかも、
「選択的夫婦別姓に賛成ですか?反対ですか?」と明確に2択を示した上で聞き直したのだ。
以下、これに対する安倍総理の回答。
安倍総理:”あの、
まず、マイナンバー制度とですね、パスポートについては通姓使用が可能と、安倍政権で、可能と、
なりました。(赤信号)
あの、
これー、私自身の意見というより、私、自民党総裁として、自民党を代表してますから。自民党において、え、
議論が整わないことをですね、言うべきではないと思ってます。(青信号) ”
1段落目は以下のように論点をすり替えており、赤信号とした。
質問内容:選択的夫婦別姓に賛成か反対か
↓ すり替え
回答内容:通姓使用の可否
賛成か反対かを2択で問われてもなお、マイナンバーやパスポートでの通姓使用の可否という論点ずらしを行い、選択的夫婦別姓の質問には頑なに答えない安倍総理の姿勢が再び鮮明になる。
2段落目は青信号としたが、「自民党で議論が整わないので、自民党の代表である私が言うべきではない」と言う
事実上のゼロ回答である。
ここで小川キャスターも回答を引き出すことを諦め、次の話題に移っていく。
ここまで紹介してきた約3分間の討論はTBS NEWSのYoutubeチャンネル(下記の動画の
16:35~19:46)で視聴可能だ。
ちなみに、翌4日の同番組内で小川キャスターは党首討論についてこのように述べている。
「政策だけではなく、党首の人となりというか、素顔の部分も垣間見えた」
「選択的夫婦別姓は家族のあり方というより、女性の尊厳をどう捉えるのかという問題。野党とともに与党の公明党も賛成。自民党は賛否を決めていないという中で、安倍総理ご自身の賛否についてお伺いできなかったのは、ちょっと残念」
四半世紀以上も前から法改正が議論に挙がりながら、いっこうに進まなかった選択的夫婦別姓。その大半の期間で与党であり、2019年現在においても「党内での議論が整わない」ことを理由に賛成か反対かすら総裁が答えない政党が、自民党である。
その自民党が圧倒的多数の議席を有している現状のままでは、選択的夫婦別姓は間違いなく進まない。あなたが選択的夫婦別姓を認めて欲しいと考えているならば、こうした現状を踏まえた上で、7月21日投開票の参議院選挙であなた自身の明確な意思表示をすることが、選択的夫婦別姓を前に進める力になるだろう。
<文・図版・動画作成/犬飼淳>
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@jun21101016
いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身の
noteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。
noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(
日本語版/
英語版/
仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。