「まだ死んでいない、喋ってるじゃないですか」という入管職員
「人間扱いしてほしい」と会見で語るメメットさん(中央)
6月24日、クルド人の2家族による記者会が、都内でおこなわれた。1組は、1年半収容されて6月17日に解放されたメメット・チョラクさんとその妻。もう1組は、現在も収容中のフセイン・イシリさんの妻と2歳になった娘だ。
今までは顔の露出を避けていたのだが、この問題を訴えるために意を決しての会見であった。そして、それに対し多くのメディアが集まった。
メメットさんは収容中に体調を崩し激しい頭痛と手足の痺れなどがあり、外から家族が救急車を呼んだが2度に渡り追い返されていた。
メメットさんは解放されたものの、体調のほうはいまだ改善が見られず、夜も眠れない状態で収容所の時と変わらず精神安定剤を常用している。
収容時の様子を、
「人間扱いされない」と語った。「死にそうだ、病院に連れて行ってほしい」と訴えても、職員に
「まだ死んでいない、しゃべってるじゃないですか」と仮病のように扱われ、心配してくれる様子はなかった。病院に行くとき、手錠をされるのを嫌がったら、病院に連れていかれなかった。
また、監視カメラつきの一人部屋に入れられ、あまりの苦しさにインターホン越しに「助けてください!」といくら訴えても「カメラで、様子を見てるから平気です」とまったく意に返してもらえなかったという。
「力になってほしい。難民は違反じゃない。認めてほしい」
記者会見には多くのメディアが集まった
記者から「世間へメッセージはあるか?」と質問をされ、「マスコミから口にして、(世間に)わかるように伝えてほしい。力になってほしい。難民は違反じゃない、認めてほしい」とメメットさんは答えた。
メメットさんが仮放免された同日、インタビューもなしで難民不認定処分が出た。担当の大橋毅弁護士もこれには驚いている。6月24日に難民審査請求を提出した。
会見に一緒に出たメメットさんの妻はこう訴えた。
「毎日、面会疲れる。(学校に行っていた)子供には『パパは元気。パパは頑張る』とウソをついていた。この(入管の)やりかたダメ。子供は日本で生まれたのに国籍がない。家族面会ができても、子供だけしか夫と触れることができない。職員に、『奥さんは座ってて!』と言われてしまう」
「難民というだけで怖がられる。ちゃんと聞いてほしい。
難民を悪いことと思わないで。私たちクルド人は世界のどこにも国がない。大人はいいけど、子供は助けてほしい。仮放免でビザがないのは大変」
夫が解放されても、まだまだ安心のできる様子ではなかった。