出版不況の時代に、自作小説を自由に広報できるサイトを作ったワケ

自由に広報できる“場”

 こうした問題に直面し、どうするか考えているうちに、自由に広報できる場が欲しいと思うようになった。小説についての情報発信をするためのメディアだ。小説の投稿サイトではなく、小説の宣伝を目的としたサイトだ。  それとともに、紙の小説、電子の小説、Web小説、アプリの小説、そうしたものの垣根を取り払う時代に来ているのではないかとも考えた。  たとえばWeb小説第2位の規模を誇るカクヨムでは、2019年秋を目処に、広告を掲載して収益の一部をユーザーに還元する予定だ(参照:カクヨムからのお知らせ2カクヨムからのお知らせ1)。Web小説で、紙の小説よりも稼ぐ人が多数出てきた時、プロだアマだという議論は意味を成さなくなる。  去年上梓した電子書籍編集部を舞台にした小説『#電書ハック』では、Web小説まで範囲を広げて、小説のこれからについて考えた。それから1年近くが経ち、自分の中で、考えはさらに先に進んでいる。

「ノベル読もうよ」の開発

 様々な問題意識と、広報先が欲しいという個人的欲求から「ノベル読もうよ」というサイトの開発を5月の上旬に始めた。そして5月末に仮公開して、6月中旬に本公開に漕ぎ着けた。一次創作の自作小説の“紹介”を投稿するサイトだ。  同サイトでは、小説に関する記事の寄稿も募集している。記事にからめて、自作小説の宣伝をしてもらおうという趣旨だ。Web小説の場合は、実際に読めるWebページを掲載してもらう。紙の本や電子書籍を販売している人は、その販売先のURLや書影を載せてもらう。Amazonなどのアフィリエイトがある場合は、自分のIDを利用したリンクを張ってもらう。  最初の2週間ほどは仮公開ということで、賛同者の方にのみ投稿をおこなってもらった。現在は全ての人に投稿を解放しており、自由に小説の紹介の投稿がおこなえる。今後は集客のために、投稿数や機能を増やしていかなくてはならない。  賛同者には、プロとして書籍を出している人もいれば、Webで自作を発表している人もいる。自分が書いた小説をより多くの人に読んでもらいたい、そのための宣伝先が欲しいという気持ちは、多くの人が持っている。
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