インターステラテクノロジズ、今夏にもロケット打ち上げ。日本酒や紙飛行機などを載せ宇宙へ!?

「くだらないと思われるような宇宙利用」がさらに拡大

 今回のMOMO 4号機でとくに注目すべきポイントは、宇宙から紙飛行機を飛ばしたり、日本酒を燃料の一部にしたり、ハンバーガーなどおおよそ宇宙と関係のないものをロケットに載せたりといったことが、大真面目に行われるということであろう。  かねてより堀江氏は「(ロケットが)『くだらない』と言われるようなことに使われてこそ宇宙産業は発展する」と語っている。くだらない、というのは少し語弊があるかもしれないが、ようするにこれまで宇宙とはまったく縁のなかったもの、ことが、ISTのロケットを通じて宇宙とつながることが重要ということである。  ともすれば、ロケットの打ち上げという事業は、なんらかの大きな大義や価値、目的のようなものを求められがちである。しかし、ロケットも乗り物の一つであり、本来なら、車やバイクでちょっとコンビニに行くように、あるいは目的もなくドライブするような使い方をしても、なにも咎められるものではない。  あるいは、今回の4号機のように、「くだらない」と思われることに多くの企業が賛同し、商品を載せたりスポンサーになったりすることでお金の動きが発生し、ビジネスとして成立しつつあることからは、すでに十分な価値をもたらしているともいえよう。その一方で、高知工科大学がセンサーを搭載するように、科学目的での活用や価値も損なわれてはいない点も重要である。  前述のようにMOMO 4号機は、3号機の予備部品を活用して造るが、それと並行して、量産のしやすさや低コスト化を考慮した改良型のMOMOの開発も進んでおり、それが完成すれば、いよいよ本格的な商業打ち上げの始まりとなるだろう。まずは4号機の打ち上げが成功することが前提ではあるが、5号機以降、次はどんな「くだらない」ものが宇宙へ飛ぶのか楽しみである。  そして、筆者も含めた多くの人々が、「自分はなにをロケットに載せようか」と考えられるようになる時代も、そう遠くないのかもしれない。
ISTの歴代ロケット一覧

MOMO 3号機までの、ISTの歴代ロケット一覧(提供 インターステラテクノロジズ)

【参考】 ・観測ロケット「ペイターズドリーム MOMO 4号機」スポンサー決定のお知らせ | インターステラテクノロジズ株式会社 – Interstellar Technologies Inc.【放送予定】7月4日10:00~IST社「ペイターズドリームMOMO4号機」打上げに関する記者会見 | NVS-ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ– ・みんなの力で宇宙から夢の折り紙飛行機を飛ばそう! – CAMPFIRE (キャンプファイヤー)MOMO | インターステラテクノロジズ株式会社 – Interstellar Technologies Inc. <文/鳥嶋真也>
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。 Webサイト: КОСМОГРАД Twitter: @Kosmograd_Info
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