大澤祥子さん
続いては、慶應義塾大学出身でジェンダー平等社会、性的同意の大切さを広める団体「ちゃぶ台返し女子アクション」を立ち上げた大澤祥子さんが登壇。
大澤さんは性的同意(セクシュアル・コンセント)を当たり前にして、被害者も加害者も生まない社会をつくることをミッションに活動していると述べた。
「日本は性的同意が軽視される背景がある。友人と性についてオープンに話すことは恥ずかしいという先入観や、性教育を受ける機会がないことなどが原因となっている。
性的なアクションを起こす側に性的同意を取る責任がある。加害者に対してもっと問題意識を持ち、性的同意を尊重する考えが社会的に認識されることが大切だ」
また、性的同意における大切なポイントを3つ掲げて挙げて大澤氏は説明した。
(1)NOと言える環境が整っている(非強制性)
(2)社会的地位や力関係に左右されない対等な関係である(対等性)
(3)1つの行為への同意は他の行為への同意を意味しない(非継続性)
性的同意を根付かせるための啓発活動やワークショップを通して、性をより肯定できる社会の実現に向けた具体的な行動を取る必要があると述べた。
「自分の体は自分のものなので、性的同意が広まれば男女の対等なコミュニケーションや人間関係のあり方自体が変わってくると思う」
大学と連携してキャンペーンを実施して、性的同意について学びやすい環境を学生自身が作っていくことにも従事しているという。
「社会に対し声を挙げていける人を増やすために、大学を巻き込んだキャンペーンや署名活動を行っている。共通の意識を持ったコミュニティが形成されていくことで、住みやすい市民社会を自分たちで作っていくという想いで取り組んでいる」
福田和子さん(左)と山本和奈さん(右)
最後に対談したのは、Voice Up Japanの山本和奈さんと「#なんでないの」プロジェクト発起人の福田和子さん。キャンパスでの性暴力についてお互いの意見を主張した。
山本さんは、「大学におけるキャンパスレイプや就活セクハラが取り沙汰される一方、性犯罪について学ぶ機会やガイダンスが大学側で用意されていないのが現状。性的同意を学ぼうとしても知っている人や問題意識がある人にしか届かない。どこの大学でも、意識を持っている人とそうでない人がいるのが現状。興味のない、問題意識のない人へ届けることが大切」と説明。
福田さんは「性被害を受けた際に声を挙げることも大切だが、安全性の担保だったり、社会的リスクを抱えたりとエネルギーがかかることも事実。被害者の抱えているリスクを包括した形で、尊重できる世の中になるのが理想である」と述べた。
・レイプ
・痴漢
・セクシャルハラスメント
・露出
・覗き・盗撮
主な性暴力や性犯罪を列挙したが、性暴力被害において知識を持っておくことも大切だという。
「世の中には性的被害によって、生きにくさを感じている人もいる。そういう人が声を挙げることで世の中が変わっていくし、性犯罪の潜在化を防ぐことにも繋がる。まず、性について学ぶきっかけ作りをしていくことが大切。」
どういう被害を受けたらネクストアクションはどうすれば良いのか。しっかりとした共通理解を社会に広めていく必要性があると対談で述べられた。
<取材・文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。