中国人は他人から見えるものを重要視する傾向があり、ブランド品は大きなものを男女問わず好む。自家用車だったり、サングラス、洋服、装飾品、腕時計、最新のアイフォーン、そして大型のカバンなど他人から見えるものにこだわる。逆に外から見えない下着や靴下などはあまり重要視しない。
ショルダーバッグを漁っている現場を見ていて思ったのは、即買いしていることだ。ヴィトン製品であれば、シリアル番号を確認したり、金属金具の加工、縫い目などをチェックするのが真贋判断のポイントになるが、それもせずにポンポン選んでいるように見える。
「信用」が乏しい中国国内であれば、仮にヴィトン専門店であってもショーケースから取り出して触りまくって事細かく納得するまで確認するのが日常的であるが、ここではそんな光景が見られない。
両腕にバッグを抱えWeChatで実況中継しながら品定めする女性
「だってここすべて本物でしょ?だったら確認しなくても平気でしょう」若い女性はそいう言い放った。かなり日本を信頼していくれているようだ……。中古品であることも特に気にしていないようだ。
また、中国人訪日客で多く聞かれるのは会計時のトラブルであるが、
「ほとんどがQRコード決済なので特にトラブルもありませんね。通訳もすぐ呼べるので大丈夫です」(会計担当スタッフ)
アリペイの他にもWeChatマネーの電子決算にも対応
今回、同行させてもらったツアーの中国人たちは平均所得よりも高い、いわゆる富裕層に当たる人たちで、他の中国人客も同じような所得層なのだろうか、それらも多少影響していると思われる。
このような質流れ品フェアに中国人が増えているのは単に所得が上がっているだけではない。中国人の中古に対するイメージが根本的に変わってきてることも関係している。
「中国語で中古は『二手』と表記しますが、基本的にダメダメで使い物にならないというイメージで誰も買いません。日本のように衣類や本、家電などを中古で買うという習慣は中国にはありません」(同行ツアーガイド)
購入した商品を入れるためかスーツケース持ち込みの人も
中国で中古で売買されてそれなりのニーズがあるものは、携帯電話やマンションの部屋などがある。携帯電話、スマホは中身を代用品に入れ替えた新古品のように売られており、中国の多くの住宅は内装を個々に工事するので、中古で買って内装を一からすべてリフォームしてしまうのが一般的で、中古に信頼を置いていないので徹底的にやる人が多い。
また、日本のような中古車も少なく、洪水の後には浸水した中古車が並ぶから絶対に買ってはいけないなどを信じ込んでいる人も少なくない。
そんな中国における中古のイメージが日本へ来てから変わったのか、日本へ行った人から聞いて変わったのか定かではないが、日本の中古品は高品質だという認識に変わりつつあるようだ。
このフェアへ訪れる前に宿泊先ホテル近くの「ブックオフ」へ案内したら、「このDVDは新品ではないのか?」と目を丸くして驚いていたのが印象に残る。
流通センター隣りの大井競馬場で定期開催される日本最大規模のフリーマーケットにも中国人客が年々増えている。今後、中古フェアやフリマへ中国人が殺到する光景が日常化する日もそう遠くないのではないだろうか。
<取材・文/我妻伊都 Twitter ID:
@ito_wagatsuma