元東電社員の蓮池透氏も驚愕! あまりにも無防備な「伊方発電所」

所内の動線が丸見え! 対テロどころじゃない!

 さて、正面ゲートをあとにして、県道255号線を更に西進してモニタリングポストの場所まで行きました。ここからは正面から伊方発電所が一望できます。  蓮池さんはここでもびっくりです。 「え~~~、所内の動線が全部丸見えじゃないですか。チェックポイントまですぐそこに見える。これじゃ対テロどころじゃないですよ」  そうなんです。写真では撮影位置と深緑でよく見えませんが、場所を少し変えて秋冬に撮影すると何もかも丸見えになります。サンダーバードの悪役フッドが、双眼鏡で覗いていそうです。  同行した方から、ここで面白い話がありました。伊方発電所の敷地内に、立ち退かなかった方の農地があり、農地への通路があるそうです。四国電力は、その通路を封鎖したがり、操業開始以来、ずっともめていたそうです。そういえば、発電所の周りをウロウロ探検していると、存在理由のよく分からない小道がありました。私は高いところがとてもとても苦手なため、いままでその道を探検していませんでしたが、次の機会に調査しようと思います。確か公図の写しを持っている人が居ます。  ここで、同行の方がさらに面白いこと言いました。 「昔は正面ゲートなんかなくてね、下のチェックポイントまで降りてみんなでお話(抗議)に行っていたのよ」  なんとおおらかな! 素晴らしい。

やる気を一切感じない風力発電の風車

 蓮池さんは、「ここにも風車がありますね、あれ、四電さんの子会社でしょ?それにしても古くて小さい風車ですね。三菱のですね」と言いました。  さすが全部あたりです。今回は一基以外全部回っていましたが、平素は大概全機止まっています。ほとんどやる気が感じられません。本来ならば、舶来品で最新鋭の大型風発を設置すべきですし、風況は悪くありませんから、常時回っていないとおかしいです。どこの原子力発電所にも風発が近くにありますが、大概の場合、全くやる気が感じられません。そうこうしているうちに日本の全重電メーカーは、風発製造で競争力を失い、昨年全社製造から撤退してしまいました。かつては風発技術世界一を自称していた日本の現状は危機的です。
2015年8月に正面ゲート脇から撮影した伊方発電所

正面ゲート脇から撮影した伊方発電所2015/08/11牧田撮影
現在の写真と比較すると、変化の大きさが分かる。現在の左手前駐車場は残土で埋め立て中。下のチェックポイントまで昔は入れたとのこと。開閉所の山に植生が多く残っていた

 実は、佐田岬半島は風力の好適地で、伊方町営で稜線すべてに最新鋭の舶来品大型風発を建設すれば、伊方発電所は要らなくなります。勿論、天然ガス火力による補償は必須ですが、持続的に雇用が創出され、しかも安くて安全です。ここでも21世紀の電力イノベーションが不発です。  この風発、実は観光資源にしようとしたのか、大型バスが離合できる立派な道路が全機につながっていて、大型車の転回場まであります。当然、伊方発電所は上から丸見えで、1号炉に至っては、茶筒(鋼製セミダブル型格納容器)の内側まで見えちゃっていました。結果、テロ対策のためか道路は封鎖されています。しかし、同地点周辺まで農業用の作業用道路から到達できますので、今でも素晴らしい景色を見ることができます。原子炉ファンには感涙級の絶賛お勧めビューポイントです。但し道中、蛇や虫がいっぱいいます。私はスズメバチが怖いので冬にしか行けません。ぜひとも封鎖中の立派な道路を開放して欲しいです。
次のページ 
経営資源の投入先を間違っている……
1
2
3
4