元東電社員の蓮池透氏も驚愕! あまりにも無防備な「伊方発電所」

労働安全衛生上好ましくない寮の立地

四国電力九町越寮と正面ゲート

四国電力九町越(くちょうごし)寮と正面ゲート2019/01/11牧田撮影
正面ゲートとの位置関係が分かる。蓮池氏の指摘通り、職住接近甚だしく労働安全衛生上は好ましくないと言える。一方で、大きな事故やインシデントが起きた場合には即応できる人員が最低限確保できる

 そして、社員寮が発電所正門の向かい側にあるのにもとても驚かれていました。これも伊方発電所の特徴で、職員はいざとなれば寮から徒歩や自転車で職場に行けます。私は、これについて原子力防災上たいへんに好ましいと絶賛してきたのですが、蓮池さんは異なる意見でした。 「これ、社員がかわいそうですよ。これだけ近いと仕事の持ち帰りが必ず起こる。労働安全衛生上、全く好ましくないですよ。寮は職場から離さないと」とのこと。  私は、これには気がついていませんでした。労働組合のもと役員としては余りにも不明でした。考えてみれば、私の父は工場の正門前という社宅の立地で、いつも仕事を持ち帰っていましたし、何かあると深夜でも守衛室から電話がかかっていました。これに気がつかなかったのは余りにも不明でした。反省すること大なりです。

原子力の生き字引だった蓮池さん

 ここでも蓮池さんは「ここ、特重施設(特定重大事故等対処施設)*を作る場所ないでしょう」と驚いていました。  四国電力は、倉庫番ゲームのような技を駆使して、なんとしてでも特重施設を建設するでしょうが、あと2年2ヶ月未満の期限内での完成は無理で、最短でも1年の操業停止が見込まれています。特重施設完成までの猶予期間の5年間で運転差し止めによる11ヶ月(正味10ヶ月程度)の計画外停止をしていますので、原子力発電にとって死活問題である設備利用率は大きく下がる一方です。  伊方発電所は敷地が狭くて地形が険しいという二大悪条件を抱えているのです。1号炉立地時点で今日のようなことは予想していなかったのでしょうが、運転期間、投資回収期間が40年以上に及ぶ商用原子炉では、予測が不可能な将来的社会変動や災害、市場の変化による影響が避けられないという典型事例です。経営学上、とても面白い課題と思います。  さらに、ここで蓮池さんが面白いことを言いました。 「東京電力でもむかしドイツのPWR導入を検討していて、僕はその仕事をしたことがあるんですよ」  これは面白い!東京電力がドイツのJK-PWR(Japanese KWU Pressurized Water Reactor)の導入を真剣に検討していたことは、岩見浩造氏が、自身のブログ『“岩見浩造◆の福島原発事故研究ブログ』 【お理工軍クラは】ドイツの3分の2の壁厚しかない日本のPWR原発に「戦闘機が当たっても大丈夫」と断言する人達【黙ってろ】 2017年8月27日”で2年近く前に公表されていますが、当事者がこんなに近くにいるとは思ってもいませんでした。聞けば、ABWRの設計もその後されていたとのこと、さらに日本原燃に出向されていたとのこと。これは凄い! 原子力の生き字引ではないですか!
特重施設等の設置に向けた更なる安全向上の取組状況について

*特重施設等の設置に向けた更なる安全向上の取組状況について 2019年4月17日 主要原子力施設設置者 (北海道電力等9社、日本原電及び電源開発)
工事遅延により伊方発電所や川内発電所では1年程度、高浜発電所では2.5年の操業停止が見込まれる。バックフィットの増加によっては更に操業停止期間が延びる恐れすらある

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