「夢のある前向きな政策。政権交代のためにはそれが必要だ」小沢一郎ロングインタビュー第3回

不要な基地を造る必要はない。アメリカも話せばわかってくれる

小沢一郎インタビュー3-1 小沢氏がかねて「日本の七不思議」と表現してきたのが、沖縄・辺野古に建設中の米軍新基地をめぐる問題だ。「『新基地はいらない』というのが米国政府の本音。沖縄に駐留する海兵隊も『必要ない』と考えている」と明言してきた。実際、今年5月には「2025米会計年度の前半(2024年10月~2025年3月)に在沖海兵隊がグアムへの移転を始め、約1年半かけて完了させる」という米軍の方針が報じられた。 「なぜ新基地を造らなければならないのか。どう考えてもおかしいでしょう。会見でも言っていますが、これも原発と同じ利権です。利権の構造の中でずるずる続けている。何兆円、何十兆円という利権にみんな群がっているわけです。辺野古の埋め立ても、見込み違いでいくらかかるかわからないという。ジュゴンもいなくなったと聞いています。そもそも、いらない施設になんでそんなに金をかけるのか。本当に恐ろしい話です」  玉城デニー沖縄県知事は衆議院議員時代、旧自由党で幹事長を務めた。昨年8月の選挙では「日米地位協定の抜本改定、主権の行使を求める」と訴えている。国政で野党が政権を取れば、日米関係、沖縄の在り方もさらに変わっていくだろう。 「米国と話し合えばいいんです。日米安全保障条約がある以上、基地の提供はしなければなりません。ただ、いらない施設を造る必要は全くない。米国政府だって、話せばわかってくれます。現状は日本政府のほうが『やる』と言い張っているので、米国も『ダメ』と言えないだけです」  民主党が政権を取る直前の2009年7月、鳩山由紀夫・民主党代表(当時)は米軍普天間飛行場移設先について「最低でも県外」と公言。9月に鳩山政権が成立すると、普天間問題で米国政府や外務省、メディアが相次いで反発し、政権運営は混迷を極めた。普天間移設は鳩山政権が短命に終わった一つの要因とも言える。 「鳩山政権のころに僕が自由の身であれば、首相に助言していました。でも検察の捜査が進むなか、当時は党務に専念せざるを得ず、できなかった。無念です」

個別の政策とは別に、夢のある前向きな政策を

 今夏の参院選、野党はどんな政策を掲げるのか。 「脱原発や安保法制廃止、消費税減税もいいけど、これらは自公政権の政策を否定しているだけです。個別の政策とは別に、もっと大きな、夢のある前向きな政策を打ち出していきたい。国民があっと驚き、『おお、いいな』と思ってもらえるような。 まだ誰にも言っていませんが、僕の頭の中にはすでにある。ここではまだ言えませんが、枝野代表や玉木代表に聞かれれば答えますよ」  国別GDP(国内総生産)では2010年に中国に抜かれ、日本は世界第3位となった。アジア諸国の急成長もあり、今や一人当たりのGDPでは世界211か国中32位。経済的な豊かさがすべてではないものの、日本人が以前ほど自信を持って行動するのが難しい環境になってきているのは事実だ。 「日本という国、地域はもともとかなり温暖で豊かだったといいます。大陸や半島から多くの人は入ってきていますが、基本的には何千年にわたって自分たちだけでやってきた。この間、民族的、人種的な争いはほぼ起きていません。例外はありますが、おおむね平穏無事な暮らしが続いてきた。  これに加えて、戦後教育、戦後民主主義の影響もあって、日本人はどうしても自立心に欠けるところがあります。何ごとも『和を以て貴しとなす』。聖徳太子が制定したといわれる十七条憲法の第一条からほとんど変わっていません。  一人一人が自分で考え、結論を出し、行動するようにならないと、政治も経済もよくはならない。『誰かがやってくれるだろう』とか、『そのうち神風が吹くに違いない』と思っていては、何も変わらないんです」
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日本人が自立するためにも、まずは生活の安定
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