今夏の選挙で野党の勝敗を分けるものとは?<小沢一郎ロングインタビュー第1回>

「結集」──小沢一郎氏が代表を務めた自由党のポスターにあった2文字が今、実現に向け動き出した。4月26日未明、国民民主党と自由党が合流を決定。野党統一候補の調整が進む中、今夏に行われる参議院選挙のカギを握る小沢氏に戦略・戦術を聞いた。

枝野代表が決断すれば、野党の大同団結はすぐに実現できる

小沢一郎インタビュー1-1「野党は一つにまとまらなくてはならない」と訴え続けている小沢一郎氏。玉木雄一郎・国民民主党代表に請われ、総合選挙対策本部長相談役への就任が決まった。選挙実務への知識と経験に対する期待は党内に根強い。野党の参院選への取り組み、情勢をどう見るか。 「まだまだダメですね。このままだとボロ負けしてしまう。何とか勝って、安倍内閣には退陣してもらわないと」  枝野幸男・立憲民主党代表は5月17日、全国幹事長会議で「立憲の旗を高く掲げて戦うと同時に、野党第1党の責任として野党の勢力を最大化する」とぶち上げた。4月9日の衆議院沖縄3区補欠選挙での勝利を機に、枝野代表はそれまでの慎重姿勢から一転。野党共闘に舵を切ったかに見える。 「野党が圧勝するかどうかは、すべて枝野代表にかかっている。枝野代表が決断しさえすれば、野党の大同団結はすぐに実現できます。玉木代表も『枝野代表が旗を振るのなら、私はいつでも参加する』と言っている。野田佳彦元首相も岡田克也元外相も、恐らく同じだと思います。枝野代表の『君子豹変』に期待するしかありません。 僕の役割は真の野党共闘に向けた雰囲気を作っていくこと。みんなそう思っていても、表立って口にする人はなかなかいません。ある調査によれば、立憲支持者のうち『野党は連携して選挙に臨んだほうがいい』と考える人は8~9割にも及んでいる。 そうした情報が枝野代表の耳にも少しずつ入ってきているんでしょう。決断をうながすよう、国民から声が上がるような方法を考えないといけない」

選挙から足が遠のいている2000万人の存在

小沢一郎&玉木雄一郎

小沢一郎氏(左)と対談する玉木雄一郎・国民民主党代表

 参院選の結果は政権交代に直結はしない。だが、与党が敗れれば安倍内閣は退陣せざるを得ないだろう。衆議院解散の目はなくなったように見えるが、仮に衆参同日選となれば政権選択の選挙となる。衆院選は「首相を選ぶ選挙」でもある。野党側は首相候補として第1党の党首・枝野氏を担いで戦う。 「2017年衆院選後の特別国会での首班指名選挙でも、僕ら旧自由党の議員は枝野代表に投票した。代表とはその後、何度か会談しましたが、最終的に『立憲は立憲でやる。自由党さんは自由党さんでやってください』となった。 これではどうしようもありません。次善の策として、並行して声がかかっていた国民民主党と話し合いを始め、合併が実現した。これは第一歩というより、野党がまとまる一つのきっかけです」  新聞やテレビが「安倍一強」を報じるなか、小沢氏は「政権交代は100%可能」と断言してきた。 「根拠となる数字はいくつかあります。民主党が政権を取った2009年の衆院選は投票率が約70%。それ以降はほぼ50%前後に止まっています。20%近く、約2000万人が減っている。恐らくは『政権交代が期待できない』と足が遠のいてしまったんでしょう。 分析してみると、そのうちの7~8割は自民批判票、野党票です。だから『政権が変わるかもしれない』というくらい、野党のカタマリが期待を集められれば、その2000万人が投票所に来ます。そうなれば、野党は絶対に圧勝できる。それだけのことです」  2009年衆院選で自民党は約1800万票を獲得。直近の2017年衆院選でも1800万票。一方、2017年衆院選では立憲民主党と旧希望の党の得票が合計で2000万票を超え、自民党を上回っている。しかし、今年5月に行われた共同通信社の世論調査によれば、新生国民民主党の支持率はわずか0.9%。参院選に弾みをつける秘策はあるのだろうか。
次のページ 
日常の政治活動は「古く」ない
1
2