Wordを捨て、テキストファイルで書こう!? IT業界の人が利用する「マークダウン」という不思議な形式

Wordに疲弊し、テキストファイルに癒やされる

 「マークダウン」(Markdown)という言葉を聞いたことがあるだろうか。Web系を中心としたプログラマならよく馴染んでいる言葉だ。  マークダウンはテキストファイルの書き方のひとつだ。特別なファイル形式ではない。見出しや強調したい部分、リンクや画像の挿入について一定のルールで書く。それ以外は、普通のテキストファイルと変わらない。  そうして書いたテキストの文書を、特定のWebサイトに投稿すると、見栄えよくHTMLに変換してくれる。手元でHTMLファイルに変換したければ、マークダウンエディタと呼ばれる種類のテキストエディタを使えばよい。エディタの一機能として、マークダウン変換機能が付いていることもある。 img_editor 文書の整形に「Word」を立ち上げる必要はない。「Word」の不可思議な挙動に悩まされることもない。使い慣れたテキストエディタで、サクッと書けばよい。シンプルなテキストで、小さなファイルサイズで保存できる。パソコンでもスマホでも簡単に書くことができる。  マークダウン形式で書き、HTMLに出力してPDFに変換すれば、それだけで見栄えのよいドキュメントを作成できる。覚えておいて損はない。今回は、そうした「マークダウン」について話をする。

マークダウンの簡単な書き方

 それでは、マークダウンの簡単な書き方を示そう。  見出しを書きたい場合は、行頭に「#」を置く。変換プログラムにもよるが、「#」のあとに半角スペースを入れてから見出しを書くとよい。こんな感じだ。 img_md_sample_1 見出し以外の本文は、改行1つは無視される。改行が2つ以上ある場合に、はじめて改行として認識される。  これは、マークダウンという形式が、元々英文メールの書き方の慣習から来ているからだ。パソコンのメールでは、途中で改行を入れて文章を書くことが多い。しかしそれらは本来、必要な改行ではない。マークダウンでは、そうした改行を無視するようになっている。 img_md_sample_2 また、見出しには階層をもうけることができる。「#」が1つなら1階層目、「#」が2つなら2階層目、3つなら3階層目となる。 img_md_sample_3 こうした見出し構造は、そのままアウトラインプロセッサの目次のような役目を果たす。アウトラインプロセッサは、文書を階層構造(主にツリー状のUI)で示して、細部を書き込んでいくソフトウェアだ。アウトラインプロセッサの中には、マークダウンに対応しているものもある。  次は、リンクや画像の埋め込みだ。角括弧と丸括弧を用いる。 img_md_sample_4  階層付きリストや順序付きリストも表示できる。これは、記号や数字を以下のように並べると、自動で整形してくれる。 img_md_sample_5  他にも強調表示や表組、引用、水平線などのルールがあるが、それほど難しくはない(Wikipedia)。
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文書に見た目や構造の指示を与える「マークアップ言語」
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