窓を開けて風を通すと逆効果! 梅雨どきの湿気対策の「誤解」

部屋干しでも生乾きにならず、簡単に洗濯物が乾く家 

生乾き このように、家の中で出る湿気についてはある程度の対策ができるが、外から入る湿気への対策には限界がある。気密性の低い住宅は、外からどんどん湿気のある空気が入ってきてしまうからだ。そのため、これから住まいを検討する人なら、気密性の高い住宅を選ぶことをお薦めしたい。  気密性の高い家は、隙間が少ないため外の湿気に影響されにくい。その上で適切な換気システムとエアコンの除湿機能を併用すれば、容易に室内の湿度をコントロールできる。 部屋干し 高気密の家では、気密性の低い一般的な既存の住宅に比べて、動かすエアコンの出力は大幅に少なくてすむ。壁の内装に漆喰や珪藻土など、調湿性能の高い建材を使用していれば、なお効果的だ。  ちなみに、筆者の家は高気密高断熱の住宅なので、年間を通じて湿度は40%台から60%台を維持している。家の中にいる限りは、梅雨ということさえ忘れてしまうほどだ。湿度が高い時期でも2階建ての家全体が、10畳用のエアコン1台とサーキュレーター1台だけで、簡単に除湿できる。  洗濯物は年間を通して部屋に干しているが、梅雨どきを含めてよく乾く。筆者も以前は、部屋干しに良いイメージは持っていなかった。しかし、一日に複数回洗濯をしても湿度が上がらず、服に生乾きの嫌な臭いがつくこともないので、この家に住んでからというもの、部屋干しの印象はまるで変わった。

作り手側も消費者も「湿気対策」を十分に考えよう

筆者の家の内装には、調湿機能のある漆喰が使われている

筆者の家の内装には、調湿機能のある漆喰が使われている

 このように湿気に強い仕様の筆者の家では、主にドイツ製の建材が使われている。本来は、ドイツよりもはるかに湿度の高い日本の家の方が、湿気対策の研究や取り組みが進んでいるべきだが、日本全体としては残念ながらまだまだと言わざるを得ない。  現在では、日本でもトップレベルの工務店やハウスメーカーの新築住宅では、湿気対策をはじめとする住宅のレベルが上がりつつある。住まい手の快適な暮らしや健康のためにも、作り手の側にはさらなる改善を求めたい。また消費者の側も、住まいを選ぶ際は売り手の言いなりではなく、湿気対策にも気をつけて選ぶようにしてほしい。 ◆ガマンしない省エネ 第14回 <文/高橋真樹> ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。環境・エネルギー問題など持続可能性をテーマに、国内外を精力的に取材。2017年より取材の過程で出会ったエコハウスに暮らし始める。自然エネルギーによるまちづくりを描いたドキュメンタリー映画『おだやかな革命』(渡辺智史監督・2018年公開)ではアドバイザーを務める。著書に『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)『ぼくの村は壁で囲まれた−パレスチナに生きる子どもたち』(現代書館)ほか多数。
ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。環境・エネルギー問題など持続可能性をテーマに、国内外を精力的に取材。2017年より取材の過程で出会ったエコハウスに暮らし始める。自然エネルギーによるまちづくりを描いたドキュメンタリー映画『おだやかな革命』(渡辺智史監督・2018年公開)ではアドバイザーを務める。著書に『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)『ぼくの村は壁で囲まれた−パレスチナに生きる子どもたち』(現代書館)。昨年末にはハーバービジネスオンラインeブック選書第1弾として『「寒い住まい」が命を奪う~ヒートショック、高血圧を防ぐには~』を上梓
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