興味深いのは帝国繊維と関係の深い機関投資家の動向だ。みずほ銀行系のアセットマネジメントOneやみずほ信託銀行もスパークスの増配や社外取締役選任の議案に賛成している。
あくまで努力目標のスチュワードシップ・コードだが、「行動規範に反している」と金融庁に睨まれれば、公的年金運用の受託から外されかねないと、ある市場関係者は話す。こうなると運用会社へのダメージは大きく、影響力は絶大だ。スパークス・アセットマネジメントの執行役員、服部英明氏も「これまでのように同系列だからといって運用会社が無条件で味方をしてくれる時代は終わった」と指摘する。今のところ、2つの“行動規範”がうまく機能しているようだ。
【鈴木一功氏】
早稲田大学大学院経営管理研究科教授。富士銀行(現みずほ銀行)でM&A部門チーフアナリストを務める。M&A関連の記事を多数寄稿
― 敵対的買収が増えるワケ ―