WHOは「若者の健康に危険をもたらす可能性がある」と警告
「集中力を高め、パフォーマンスや認知機能の向上」を謳うエナジードリンク。「睡眠不足」、「エネルギーが必要」、「アルコールと混合したい」などの理由で、米国の若者に大人気です。米国立補完統合衛生センター(NCCAM)によると、
12~17歳までの米国人約30%が定期的にエナジードリンクを飲んでいます。
一方、医療関係者を中心に、エナジードリンクの健康への害について懸念が高まっています。
米国薬物乱用精神保健管理局(SAMHSA)は、
エナジードリンクに関わる救急治療部への受診が2007年の10,068回から2011年は20,783回に倍増したと
指摘します。
さらに、
米食品医薬品局(FDA)は、エナジードリンクによって34人が死亡したことを報告しました。
そこで2011年に
米国小児科学会(AAP)は「エナジードリンクは、子供にとって有害な可能性の物質を含み、子供は消費するべきではない」という声明を発表しました。
さらに2014年、
世界保健機関(WHO)は、「エナジードリンクの消費量の増加は、特に若者の健康に危険をもたらす可能性がある」と警告しました。にもかかわらず、エナジードリンクの市場は成長し続け、専門家の分析によると、2021年までに売り上げが610億ドルに達することが予測されています。
アメリカ心臓病学会(ACC)によると、エナジードリンクの主成分であるカフェインは、摂取後、急速かつ完全に吸収され、約30~120分で血液中の濃度がピークに達します。エナジードリンクに含まれるカフェインは、お茶やコーヒーのような植物由来飲料の天然成分ではなく人工的に合成したものです。
カフェインは、量次第で良薬にも毒薬にもなります。これまでの研究で、
適度な量のカフェイン摂取は、エネルギー消費の増加、身体能力の向上、疲労減少、瞬発性の向上、認知機能の強化、集中力と短期記憶の向上につながることが報告されています。
一方で、カフェイン摂取による、
神経過敏、不安、手足の震え、骨粗しょう症、吐き気、不眠、頻尿、頭痛、動悸など、健康への負の影響が懸念されています。また、習慣的にカフェインを摂取し続けると依存症になり、
不安、疲労感、吐き気や頭痛などの症状が出現する場合があります。
カフェインの過剰摂取によって生じる心血管系への影響は、
アスリートの死亡原因にもなっています。カフェインの値が高い場合、十分な水分補給がないと、カフェインの利尿効果により脱水症状を誘発します。