駿河台大学ウェブサイトより
そこで筆者は5月9日、駿河台大学の大森一宏学長と田﨑史郎客員教授宛に質問書をメールで送った。大学側から、メールの送付先は総務課と指示された。
筆者が送った質問書は、以下の通り。
テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」、TBSの「ひるおび!」などにコメンテーターとして頻繁に出演している田﨑史郎氏が本年4月以降、「駿河台大学客員教授」の肩書きで出演していることについて、貴学学長と田崎客員教授に質問があります。
最新では、今日(9日)のTBSテレビに「駿河台大学客員教授」という肩書で出演していました。
①テレビ各局は出演者の肩書きを紹介する際、おそらく本人の意向を聞いたうで表記していると思いますが、田﨑氏がテレビなどで「駿河台大学客員教授」という肩書きを使うことについて、田﨑氏から貴学へ相談などはありましたか。
②小森室長によりますと、田﨑氏は駿河台大学において科目を一つも持たず、学生に教えることもない「客員教授」とのことです。しかし、テレビ視聴者は「大学の先生」と受け取って、コメントを視聴していると思います。一般の人は、専任教授、准教授、助教、客員教授、非常勤講師などの大学内のポストの違いはよく分からず、「大学で教える教員」と受け止めています。田﨑氏がテレビで駿河台大学客員教授として出演するのは適切でしょうか。
③田﨑氏は2018年夏ごろまで、「時事通信特別解説委員」として出演していたと思います。同年6月末、時事通信との雇用契約関係がなくなったようです。その後は政治ジャーナリストでした。貴学の「客員教授」となったのは事実でしょうが、「元・時事通信特別解説委員」という肩書きのほうがふさわしいのではないでしょうか。
田﨑氏の連絡先が分かりませんので、ぜひ、田﨑客員教授にも本依頼状を転送していただき、田﨑氏にも答えていただきたいと思います。大変恐れ入りますが、5月13日午後5時までにご回答ください。
田﨑氏はその翌日の5月10日にも、各テレビ局の番組に出演していた。その際も、「駿河台大学客員教授」という肩書きだった。
そして5月13日午後4時51分、駿河台大学総務課からメールで以下のような回答があった。
「先日、メールにてご連絡頂きました件につきましては、本学において、取材にはお応えでき兼ねますので、ご了承の程、お願い申し上げます」
文責の表示もない。田﨑氏の回答もなかった。今どき、回答責任者の氏名を書かないのは司法・捜査関係者ぐらいだ。
学生にとっては、教授、非常勤講師、客員教授などの職位は意味がない。大学で教えている人はすべて「先生」だと思っている。「テレビでよく見る田﨑さんがいるから駿河台大学に行きたい」という受験生がいるとも思えないが、大学としては知名度が上がると思っているのだろう。
駿河台大学はせめて、ウェブサイトの「客員教授」紹介のページに、「本学の客員教授は講義、ゼミ、講演をしません」と明示すべきだろう。
<取材・文・写真/浅野健一(ジャーナリスト、元同志社大学大学院教授)>
あさのけんいち●ジャーナリスト、元同志社大学大学院教授