西洋勢はどうだろうか?
旅好きでいろいろな場所でさまざまなものを食べてきたというアメリカ人男性はこう語る。
「啜る音は気にならないけど、それは自分がグルメ好きで日本以外でもいろいろな料理を食べてきたからかもしれない。例えば、東南アジアでは田舎の村に招待されて、殺したばかりの豚をご馳走になったことがある。自分は普段、肉を食べないけど、そうやって相手が善意でくれようとするものや、地元の文化に根ざしたものを断るのは難しい。どう思うかは本人次第だけど、そもそもそういう文化だって知っておくべきだし、相手に押し付けるべきじゃないと思う」
ただ、やはりネガティブな印象を受ける人もいる。
ノルウェー人の女性は、「正直、気分はよくない。熱くて食べられないなら、待つなり息を吹きかければいいと思う。ただ、これも日本の文化なので、文句は言わない。できることならやめてほしいけど(笑)」といい、ポーランド人の女性も「あまり食欲をそそるものじゃないと思う。日本人に聞くと逆にすすってる音が食欲を掻き立てるって人もいるけど、まさに文化の違いだと思う」と否定的。
ただ、ポーランド人女性は次のようにも続けている。
「でも、日本人がラーメンや日本そばをそうやって食べるってことはかなり知られてるから、心の中では不快に思っても、相手から聞かれない限り我慢する人がほとんどだと思う。今回のテレビでどうこうも聞かれたからそう答えただけなんじゃないの?」
そう、いまや日本に来る外国人も、海外に行く日本人も相手国の事情や文化などはネットで簡単に調べられる。「そういうものだ」というのは意外と知られているのである。
逆に言えば、外国人は麺を啜るのは不快に思うということは、日本人にとっても結構知られた事実だろう。
わざわざネガティブな声を取り上げて過剰に反応したりするより、お互いが「文化の差異」によってそのように感じていることを理解しながら、暗黙のうちに配慮すればいいだけの話しなのではないだろうか。
<文/太平梵骨>
たいへいぼんこつ●武蔵野市の某私大在学中に渡米。南カリフォルニア大学の「外国人のための英語」コース履修だけで政治学科2年間留学と詐称しようかと思ったが断念。帰国後、大学を中退し、風俗雑誌編集を経て現在は別名義でライター業など。興味分野は街場の風俗から陰謀論やオカルト